研究課題/領域番号 |
23687009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荻原 克益 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00422006)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 排卵 / 内分泌 / LH / 卵巣 / メダカ / プロテアーゼ |
研究概要 |
メダカの排卵に必須なプロテアーゼであるMT2-MMPは、排卵直前に急激に発現誘導される。この誘導には、LHにより誘導される核内プロゲスチン受容体(nPR)が関与することが明らかとなっているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究は、この誘導機構の詳細を明らかにすることが目的である。これまでの研究から、nPRの誘導にはチロシンキナーゼsykや転写因子であるSTAT3が関与することが判明していたが、メダカ濾胞培養系を用いた阻害剤実験から、今回新たにRafやPI3K、Akt2bが関与することを発見した。また、これらの因子についてリン酸化の有無を調査したところ、PI3K、Akt2bともにnPRの誘導される時期にリン酸化されていることが明らかとなった。これらの結果は、RafやPI3K、Akt2bがnPRの誘導に関与することを示唆している。現在、LHによるnPRの誘導は、LH→LHr→Epac→Rap→Raf→PI3K→Akt→?(転写因子)→nPRという経路で誘導されると考えている。一方、nPRによるMT2-MMPの誘導については、クロマチン免疫沈降法により生体内においてnPRがMT2-MMPのプロモーター領域に結合していること、抗nPR抗体を用いた共免疫沈降法によりnPRが複数の因子と複合体を形成してMT2-MMPを誘導していることが判明した。この結果は、MT2-MMPの上流配列を用いたpromoter assayにおいてnPR単独ではMT2-MMPの発現を増強できないという過去の結果と矛盾しない。現在、nPRと相互作用する因子を同定するために、他種においてnPRと相互作用することが報告されている因子について、メダカ卵巣における発現解析を行っている。この解析により絞り込んだ因子について特異的抗体を作製し、相互作用因子の同定を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の研究目的であるnPR、MT2-MMP、PAI-1の誘導メカニズムの解明はおおむね順調に進展していると考える。研究計画立案時に想定していた因子とは異なる因子の関与も明らかとなり、LHによるnPRの誘導機構およびnPRによるMT2-MMPの誘導機構については、ほぼ全容が明らかとなりつつある。また、本研究のもう一つの課題である卵成熟誘起ホルモンの産生機構についても、関与因子の発現解析が順調に進んでいる。従って、本研究課題の計画は当初の予定通りに進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画した実験計画通りに研究を進めていく予定である。一部の研究計画については、研究立案時に予定していた計画をすでに達成しており、これらについては新たに計画を立案、実行していく予定である。また、予想していた結果とは異なる実験結果を得たため、計画を修正、実施している研究課題もある。これらについても今後の研究計画を再考し、実施していく予定である。
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