研究課題
ユビキチン様タンパク質Atg8がリン脂質であるホスファチジルエタノールアミン(PE)に結合することが,オートファジーの進行には極めて重要である.Atg8とPEの結合反応は,E1酵素Atg7によるAtg8の活性化ののち,Atg8がE2酵素Atg3へと渡され,続いてE3様酵素Atg12-Atg5-Atg16複合体の助けを借りてAtg8がAtg3からPEへと転移することで完結する.これまでの二年間で我々はAtg7によるAtg8活性化機構とAtg3への転移機構を構造生物学的に明らかにしてきた.本年度はAtg8がAtg3からPEへと転移する反応をAtg12-Atg5-Atg16複合体がどのように促進しているのか解析した.In vitroの系において,Atg3の活性システイン残基がAtg12-Atg5依存的に構造変化を引き起こすことを化学的に明らかにした.この構造変化によって,活性システイン残基は同じく活性に重要であるスレオニン残基と互いに向き合い,その結果転移反応が促進されることが示唆された.転移反応の促進はAtg12-Atg5非存在下でもpHをアルカリ条件にすることで達成される.アルカリ条件下のAtg3の結晶構造を調べたところ,実際に活性システイン残基の構造変化が生じており,スレオニンと向き合う構造を取っていた.すなわちE3様酵素Atg12-Atg5-Atg16複合体は中性条件下で,アルカリ条件にしたときと同様の構造変化をAtg3の活性部位に誘起し,その結果Atg8とPEの結合反応を促進していると考えられた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Structural & Molecular Biology
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10.1038/nsmb.2527
実験医学
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http://www.bikaken.or.jp/laboratories/molecule/summary.html