研究課題/領域番号 |
23687015
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
沼田 倫征 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10401564)
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キーワード | RNA / タンパク質 / X線結晶構造解析 / RNase P / ミトコンドリア |
研究概要 |
ヒト由来mtRNase Pは、3種のタンパク質サブユニット(MRPP1、MRPP2、MRPP3)から構成されている。まず、これら3種の蛋白質サブユニットの大腸菌内における発現系を構築した。発現させたタンパク質サブユニットをアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。一方、pre-tRNAに関しては、T7 RNAポリメラーゼを用いたin vitro転写によって合成し、変性PAGEにより精製した。調製した3種のタンパク質サブユニットを混合してmtRNase Pを再構成させた。また、再構成させたmtRNase Pがマグネシウムイオン存在下で、pre-tRNAの5’リーダー配列を適切にプロセシングすることを確認した。また、変異体解析から、mtRNase Pに存在する保存された3つのアスパラギン酸残基がプロセシングに関与することを示唆した。さらに、ゲルろ過分析から、MRPP1とMRPP2が相互作用することを明らかにした。次に、各タンパク質サブユニット単独の結晶化、相互作用しあうMRPP1-MRPP2サブコンプレックスの結晶化を試みたところ、MRPP1-MRPP2サブコンプレックスの結晶を得ることに成功した。大型放射光施設フォトンファクトリーにて回折実験を行ったところ、MRPP1-MRPP2サブコンプレックスの結晶は、5Å程度の回折像を与えることが分かった。現在、結晶化条件を最適化している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおける酵素活性の再構成系を確立し、酵素活性に関わるアミノ酸残基を特定した。また、タンパク質サブユニット間の相互作用を検討し、相互作用しあうMRPP1とMRPP2からなる複合体の結晶化とX線回折実験を行った。以上から、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
得られている結晶の結晶化条件を最適化し、より分解能の高い結晶を調製して結晶構造を決定する。また、他のタンパク質サブユニットの結晶化にも取り組む。
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