研究概要 |
これまでにGPIアンカー型タンパク質と結合するタンパク質として、p23、p24タンパク質を見出しており、本年度は両者の結合について、さらに詳しく調べた。GPIアンカーの構造変化を行う酵素変異細胞株(pgap1, pgap5, pgap2&3)を用いて、p23,p24の結合を調べたところ、pgap1およびpgap5変異細胞株でGPIアンカー型タンパク質との結合が減少した。すなわち、小胞体で行われる2つのGPIの構造変化(PGAP1によるイノシトール脱アシル化、PGAP5による側鎖エタノールアミンリン酸の除去)がp23、p24タンパク質との効率的な結合に必要であることが明らかとなった。これに対して、ゴルジ体で行われるGPI脂肪酸リモデリングに欠損があるpgap2&3変異細胞では、GPIアンカー型タンパク質とp23、p24との結合は野生株と同様であった。またp23をノックダウンした細胞ではGPIアンカー型タンパク質の小胞体出口部位へのソーティングに異常が生じており、小胞体からゴルジ体への輸送が遅延した。GPIアンカー型タンパク質とp23、p24タンパク質の結合はpH依存的であり、中性および弱塩基性では結合が見られるのに対し、弱酸性条件下では解離が見られた。GPIアンカー型タンパク質とpH依存的に結合するタンパク質として、上記のp23、p24に加えて、同じp24ファミリーに属するp25、p28を同定した。これらの結果はp24ファミリータンパク質がGPIアンカー型タンパク質の小胞体からゴルジ体への輸送を担う積荷受容体として機能していることを示すものである。また、GPIアンカーの脂肪酸リモデリングに関連する遺伝子として、機能未知遺伝子を取得した。この遺伝子を細胞に高発現するとGPIアンカー型タンパク質の細胞表面での発現が減少することまで明らかにしている。
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