研究課題/領域番号 |
23687023
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 財団法人 神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
寺薗 英之 財団法人 神奈川科学技術アカデミー, 安田「一細胞分子計測」プロジェクト, 研究員 (30398143)
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キーワード | CMOS / CCD / 神経ネットワーク / センサアレイ |
研究概要 |
【平成23年度実施計画:神経細胞を培養するためのCCD素子の開発と初代神経細胞の培養法の確立】 【研究結果の具体的内容】 デジタルカメラなどに利用される2次元センサアレイの原理を利用してマルチアレイ型の細胞外電位計測法の開発を行った。その中で、株式会社ディテクトと協力し、センサアレイとしてハイスピードカメラに使用するCCDセンサアレイの中でも、光をセンサに集光するためのマイクロレンズアレイを搭載しないタイプを利用し細胞外電位記録用のデバイスを作製した。次にセンサアレイ上で細胞を培養する条件を検討した。細胞培養に利用する培地はセンサアレイ上に使用した際に短絡(ショート)し機能を失う。そこで、培養中に通電しても短絡しないコーキング法の検討、並びにコーキング剤による細胞障害性の検討を行った。その結果、センサアレイ部以外の金属部分と水分が接する箇所を完全にコーキングすることによりセンサアレイ上を培養液で満たし通電しても短絡しない条件を見つけ出した。また、コーキング剤としてはエポキシ系と比較してシリコン系コーキング剤が短絡せず、センサアレイ上での細胞培養に適している事を明らかにした。また、センサアレイ上での細胞接着基質としてはポリ-L-リジン、ポリエチレンイミンなど通常の神経細胞培養に使用される接着基質が利用できることを明らかにした。 【意義・重要性】 通常の用途とは異なり水分の付着によりCCDセンサアレイ短絡し機能を損なうが今回の検討によりセンサアレイ上に通電しながら細胞培養を行う事ができ実際の目的に応じたセンサ開発の足がかりができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の目的に掲げた「神経細胞を培養するためのCCD素子の開発と初代神経細胞の培養法の確立」に関してセンサアレイ上での培養に成功し、実際のセンサ開発として協力企業と連携して進めている点でおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度より2次元センサアレイ素子の開発をカスタマイズできる会社と画像処理が専門の会社と協力する事で前年度に引き続き神経活動計測用2次元センサアレイの開発を行う。特に、今年度はCCD/CMOS両方に於いて神経活動計測の妨げになるフォトダイオードを取り除くことで神経計測が可能になるか検討を進める。また、前年度の成果として得られた素子上で細胞培養ができる条件が、今年度開発するセンサアレイでも適応可能か検討を進め、さらに神経培養の可能性についても引き続き検討を進める。具体的にはセンサアレイのセンサ部に培養液を浸し通電しても短絡することなく計測できる条件、センサアレイに神経細胞を接着するための表面処理の検討、短絡を防ぐために施した処理による細胞毒性の検討を進める。次に、培養を行った際の細胞外電位を測定できるか実際に計測を行う。測定できた場合、よりシグナル/ノイズ(S/N)比を上げる工夫を行う。ノイズが多い場合、センサアレイの構造、素材を再検討する。さらに、「センサアレイ上に神経細胞をパターニングするための技術開発と人工神経ネットワークの機能解析」として、マイクロコンタクトプリンティング技術を用いて素子上に神経細胞が選択的にパターニングできるかの検討を行う。具体的には、神経細胞の接着培養に汎用的に使われるポリ-L-リジンを中心に、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンを単独あるいは組み合わせにより接着性の高い条件を検討する。
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