平成26年度は 1)NMDが直接制御する細胞内在性基質の網羅的同定とその具体的な役割の解析 2) NMD制御分子の相互作用分子の解析を通じたNMDと細胞ストレス応答の分子機構の解析 3) NMDおよび、Readthrough制御剤ハイスループットスクリーニングプラットフォームの樹立 について研究を行い、特に2)について、研究成果を2本の原著論文として発表した。 具体的には、①H23年度に報告した新規Upf1リン酸化依存的なSMG6のNMD複合体リクルートメントに加え、SMG6がリクルート後に、Upf1とリン酸化非依存的に結合すること、また、その結合部位が、Upf1のヘリカーゼドメインであることを明らかにした。さらに、リン酸化非依存的な結合もまたNMDに必須であることも示した。NMD制御酵素であるUpf1活性制御および、エンドヌクレアーゼであるSMG6活性制御のどちらにも重要な可能性があり、今後のあらたな、研究課題となる。②異常終止コドン識別時の分子複合体形成機構について、試験管内再構築を試みた。精製SMG-1複合体、Upf1、Upf2および、その変異体を用いた解析により、Upf2がUpf1非依存的にSMG-1の触媒領域に結合すること、SMG-1:Upf2複合体にUpf1が結合し、SMG-1:Upf1:Upf2複合体を形成することを明らかとした。さらに、このSMG-1:Upf1:Upf2複合体形成には、Upf2とUpf1の結合が必須であることも示した。一方で、SMG-1の活性化は観察されず、Upf3などのさらなる分子を含む試験管内再構築が必要であることも明らかとなった。
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