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2011 年度 実績報告書

初期胚発生におけるタンパク質・オルガネラの選択的分解のメカニズムと生理機能

研究課題

研究課題/領域番号 23687027
研究種目

若手研究(A)

研究機関群馬大学

研究代表者

佐藤 美由紀  群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (70321768)

キーワード受精 / オートファジー / ミトコンドリア / 母性遺伝 / タンパク質分解 / オルガネラ / 発生
研究概要

卵母細胞は受精によってすべての細胞に分化しうる全能性を獲得し接合子へと変化する.申請者らは線虫C.elegansを用いた解析から,この受精前後の時期には卵母細胞内のオルガネラの形態や組成がダイナミックに変化することを報告してきた.さらに,父方(精子)に由来するミトコンドリアやMO(membranous organelle)といったオルガネラの受精後の運命にも注目して解析を行ったところ,これら父性オルガネラは受精によって卵母細胞に持ち込まれるが,胚が16細胞期に到達するまでにすみやかに分解され受精卵から排除される現象を見出した.この分解を担うメカニズムをRNAiによるノックダウンや線虫変異体を用いて探索した結果,オートファジー経路の変異体において父性オルガネラの分解が阻害されることが明らかとなった.また,オートファゴソームの動態を解析したところ,受精直後,侵入した精子成分の周囲にオートファゴソームが形成され,このオートファゴソームに父性オルガネラが選択的に取り込まれ分解されることを明らかにした.ミトコンドリアゲノムは母性遺伝することが広く知られているが,これまでその具体的なメカニズムはよくわかっていなかった.申請者らはミトコンドリアゲノムの遺伝という観点からも解析を行い,オートファジーによる父性ミトコンドリアの分解がミトコンドリアゲノムの母性遺伝を成立させるために必要であることも明らかにした.また,オートファジー経路の必須因子の破壊株は胚発生後期,または孵化した直後の第一幼虫期で致死となったことから,オートファジーの活性が正常な発生に必須であることが判明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

精子に由来するミトコンドリアなどのオルガネラが受精後にオートファジーによって分解・除去されること,またこの分解がミトコンドリアゲノムの母性遺伝にも必要であることを世界に先駆けて報告することができた(Sato&Sato, Science2011).

今後の研究の推進方策

今後は,父性オルガネラが受精卵において選択的に分解される詳しいメカニズムを明らかにするため,それに関わる因子を線虫の遺伝学的手法を用いて探索する.また,受精後に起きる母性膜タンパク質のエンドサイトーシスによる選択的分解のメカニズムについても,すでに得ている関連因子の機能解析を進める.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Maternal inheritance of mitochondrial DNA : Degradation of paternal mitochondria by allogeneic organelle autophagy, allophagy2012

    • 著者名/発表者名
      Miyuki Sato
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 8 ページ: 424-425

    • DOI

      10.4161/auto.19243

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 線虫受精卵における父性ミトコンドリアのオートファジーによる選択的分解-ミトコンドリアDNAの母性遺伝のメカニズム-2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤美由紀
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 30 ページ: 614-618

  • [雑誌論文] Degradation of paternal mitochondria by fertilization-triggered autophagy in C.elegans embryos2011

    • 著者名/発表者名
      Miyuki Sato
    • 雑誌名

      Science

      巻: 334 ページ: 1141-1144

    • DOI

      10.1126/science.1210333

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Caenorhabditis elegans SNAP-29 is required for organellar integrity of the endomembrane system and general exocytosis in intestinal epithelial cells2011

    • 著者名/発表者名
      Miyuki Sato
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell

      巻: 22 ページ: 2579-2587

    • DOI

      10.1091/mbc.E11-04-0279

    • 査読あり
  • [学会発表] Fertilization triggers selective degradation of membrane proteins and organelles in C.elegans embryos2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤美由紀
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] Selective degradation mechanisms of meiotic membrane proteins in C.elegans embryos2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤健
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-23
  • [備考]

    • URL

      http://traffic.dept.med.gunma-u.ac.jp/reserch7.html

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公開日: 2013-06-26  

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