研究課題/領域番号 |
23688002
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
内藤 健 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, 任期付研究員 (20581705)
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キーワード | Vigna属 / 栽培化 / ゲノム / QTL / 育種 / 突然変異 / 環境ストレス |
研究概要 |
1.ケツルアズキ多器官大型化遺伝子(mog)の単離 mogは葉・茎・種子などが約2倍に増大するケツルアズキの劣性突然変異である。今年度はVigna/Glycine間のシンテニーを利用した連鎖解析を進め、mog表現型と密接連鎖する遺伝子が一つだけ存在することを明らかにすることができた。さらに、ケツルアズキBACライブラリーからその遺伝子を含む領域をもつクローンを選抜して塩基配列を決定し、他に遺伝子が存在しないことを明らかにした。mog遺伝子は他のVigna属作物やダイズにも存在するため、今後、この遺伝子を破壊したミュータントを作出することで、種子の大きさを飛躍的に増大する画期的な育種が実現されると期待される。 2.ツルアズキの種子大型化QTLを支配する遺伝子の単離 BC2F2系統から選抜した個体に3度目の戻し交配を行ったが、カビの発生により大半の交雑種子が失われた。得られた種子46粒のうち、状態の良好なものは17粒に留まったが、マッピング集団を作出するには十分な数であると考えられる。' 3.アズキ非裂英性QTLを支配する遺伝子の単離 京都大学農学研究科付属農場の協力を取り付け、栽培アズキのその近縁野生種の交雑によって得られたBC3F2集団1,200系統を圃場に展開した。またVigna/Glycine間のシンテニーを利用して新たに15のマーカーを作成し、連鎖解析を行った。その結果、2.5cM程度まで領域を絞り込むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物体や種子の大きさに関して非常に強い効果をもつ、ケツルアズキmog遺伝子を同定することに成功した。また、ツルアズキの交配やアズキ非裂莢性遺伝子のマッピングも当初予定していた通りのペースで進行しており、研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
mog遺伝子は形質転換によるノックダウン個体を作出し、その効果を検証する。検証後は既存のTILLING集団からミュータントをスクリーニングする。ツルアズキ種子大型化QTLについては自殖による種子の増殖を行い、マッピング集団を咲く出する。次年度後期にはこの集団を展開して形質評価とジェノタイピングによる連鎖解析を実施する。アズキ比裂莢性遺伝子はマーカーをより密に設計し、候補領域を100kb以下にに絞り込むことを目指す。
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