研究概要 |
Roche GS FLXシーケンサーによって得られたアズキゲノムの配列データから、ゲノム9割以上に相当するアセンブルを得ることが出来た。 このアズキゲノム情報を用いて、裂莢性遺伝子の詳細マッピングを行った。材料にはアズキと近縁野生種V. nepalensisの戻し交雑集団BC3F3系統3,000個体を用いた。その結果、前年度に約50kbまで絞られた候補領域は、さらに19kbまで絞り込まれた。この領域に座乗する遺伝子を上述のアズキゲノム情報をもとに解析したところ、2遺伝子のみであった。さらに、V. napalensisのゲノム配列を解読してこの領域を比較してみると、片方の遺伝子についてはアズキでフレームシフトを生じる1塩基の挿入が生じていることが明らかとなった。 また、Neo-domesticationのテストケースとして、病害虫に強く、栽培が用意な野生種V. stipulaceaを栽培化することを試みた。V. stipulaceaの種子7,000粒にEMSによる変異原処理を行い、うち約2,000個体から自殖種子(M2種子)を得た。このM2系統を各系統6個体ずつ1,600系統を圃場に展開し、裂莢性および種子の大きさを指標にした選抜を行った。その結果、野生型株に比べて100粒重が30%増大した系統を5系統、裂莢性を消失した系統を1系統得ることが出来た。 本年度の成果は、Neo-domesticationが短期間で実現可能であることを示唆するものであると考えられた。
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