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2011 年度 実績報告書

糸状菌の病原性発現過程におけるポラリソームと活性酸素生成複合体のダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 23688006
研究機関神戸大学

研究代表者

池田 健一  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40437504)

キーワード活性酸素 / 宿主侵入 / NADPHオキシダーゼ / ポラリソーム
研究概要

NADPH oxidase (Nox)の細胞内局在性を明らかとするために、NoxBと蛍光タンパク質の融合遺伝子を導入した変異株を作出した。融合遺伝子の導入の際には、NoxB欠損変異株を用い、融合遺伝子がコードしているNoxBが機能回復していることを指標として変異株の選抜を行った。蛍光タンパク質として、一般的であるGFPを用いたが、その局在性を見出すことはできなかった。この理由として、タンパク質の分解が活発に起きていると考え、蛍光タンパク質寿命の長いmCherryを用いた。その結果、mCherryの蛍光は付着器に局在することが明らかとなり、NoxBが侵入する際に重要な働きを担っていることが細胞学的にも示された。他の糸状菌におけるNoxタンパク質の局在性が明らかとなっていない状況と、蛍光タンパク質の寿命が長いmCherryでのみ陽性シグナルが観察された結果より、Nox産物は、翻訳されて機能を発揮すると速やかにタンパク質分解系へと送られる仕組みが存在していることを示唆している。この発見は、Noxの機能解析を進める上で非常に重要であり、タンパク質分解系を考慮した実験系の構築が求められる。
また、NoxBの細胞内局在性を制御している機構を明らかとするために、Polarisomeおよびアクチン繊維の可視化を試みた。PolarisomeはFM-4-64で蛍光染色が可能であるが、胞子発芽体では菌糸先端および付着器において陽性シグナルが観察された。一方、アクチン繊維はアクチン結合性オリゴペプチドをGFPと融合させたLifeAct-GFPを導入した変異体を用いてライブセルイメージングを行った。その結果、アクチン繊維は付着器において配向が集積していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NoxBの局在性が明らかとなり、病原性発揮に重要であることが細胞学的にも示された。さらに、Noxタンパク質の分解が速やかに行われることが推測され、新たな研究の方向性が見出された。

今後の研究の推進方策

NoxBの局在性が明らかとなったが、NoxAの局在性についても併せて解析を行い、両者の使い分けがどのような仕組みであるのかを明らかとする。また、Noxが局在するダイナミクスはアクチンの他にどのような複合体が形成されているのか、さらなる解析を進めていく。また、Noxタンパク質の分解が速やかに行われている可能性を考慮し、分解系を阻害する試薬を添加することにより、Noxタンパク質が安定するのか、その効果により、複合体形成の解析効率が飛躍的に向上することが期待される。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Characterization of ROS production at plant-microbe interaction sites in Alternaria alternata Japanese pear pathotype2011

    • 著者名/発表者名
      Morita, Y., Hyon, G.-S., Ikeda, K., Park, P.
    • 雑誌名

      Journal of Electron Microscopy Technology for Medicine and Biology

      巻: 25 ページ: 115

  • [学会発表] Functional analyses of membrane binding NADPH oxidase complex, reactive oxygen species generation machinery, in Alternaria alternata Japanese pear pathotype2012

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Morita, Gang-Su Hyon, Pyoyun Park, Kenichi Ikeda
    • 学会等名
      日韓植物病理学合同シンポジウム
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20120327-20120330
  • [学会発表] Functional analyses of membrane binding NADPH oxidase complex, reactive oxygen species generation machinery, in phytopathogenic fungus Alternaria alternata Japanese pear pathotype2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Morita, Kenichi Ikeda
    • 学会等名
      Kobe University-University of Washington Joint Symposium on Integrative Membrane Biology and Signal Transduction Medicine
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(兵庫県)
    • 年月日
      20111213-20111214
  • [学会発表] ナシ黒斑病菌の感染器官における活性酸素種生成複合体の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      森田雄一、玄康洙、森川響子、池田健一、朴杓允
    • 学会等名
      糸状菌分子生物学コンファレンス
    • 発表場所
      東京大学弥生講堂(東京都)
    • 年月日
      20111116-20111117
  • [学会発表] ナシ黒斑病菌の感染器官における活性酸素種生成複合体の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      森田雄一、玄康洙、森川響子、池田健一、朴杓允
    • 学会等名
      日本植物病理学会関西部会
    • 発表場所
      サンポートホール高松(香川県)
    • 年月日
      20111001-20111002
  • [学会発表] ナシ黒斑病菌の付着器における活性酸素種生成の特性解析2011

    • 著者名/発表者名
      森田雄一、玄康洙、池田健一、朴杓允
    • 学会等名
      医学生物学電子顕微鏡技術学会
    • 発表場所
      四国大学交流プラザ(徳島県)
    • 年月日
      20110513-20110515
  • [学会発表] 病原菌のアキレス腱をターゲットとした病害防除戦略2011

    • 著者名/発表者名
      池田健一
    • 学会等名
      近畿作物・育種研究会公開シンポジウム
    • 発表場所
      神戸大学農学部(兵庫県)
    • 年月日
      2011-12-03
  • [学会発表] 植物病原菌の感染機構解明とウラン代替染色剤の開発2011

    • 著者名/発表者名
      池田健一
    • 学会等名
      植物電子顕微鏡若手ワークショップ
    • 発表場所
      理化学研究所横浜研究所(神奈川県)
    • 年月日
      2011-11-21
  • [図書] Plant Pathology (The role of the extracellular matrix (ECM) in phytopathogenic fungi : a potential target for disease control.)2012

    • 著者名/発表者名
      Ikeda, K., Inoue, K., Kitagawa, H., Meguro, H., Shimoi, S., Park. P.
    • 総ページ数
      20
    • 出版者
      INTECH Open Access Publisher

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公開日: 2013-06-26  

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