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2012 年度 実績報告書

防御応答メカニズムを利用して成立したマメ科植物ー根粒菌共生の進化プロセスの検証

研究課題

研究課題/領域番号 23688007
研究機関明治大学

研究代表者

中川 知己  明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90396812)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード防御応答 / 共生 / 菌根菌 / 根粒菌
研究概要

マメ科植物は根粒菌と共生を行うことで、窒素栄養を獲得することができる。一方で植物は多種多様な病原菌の脅威にさらされており、これに対抗するために高度な防御応答メカニズムを備えている。植物が病原菌を排除しながら、根粒菌を受け入れているメカニズムはほとんど研究が進んでいない。
マメ科植物は根粒菌の分泌するNodファクターを認識することで、根粒菌を受け入れるためのプログラムを開始する。共生の開始に必須である植物のNodファクター受容体NFR1は、防御応答を担うことが知られているCERK1受容体から進化したことを我々は明らかにしている。本研究ではCERK1のどのような変化が防御から共生への変化をもたらしたのかについて調べることを目的とする。
シロイヌナズナのキチン受容体AtCERK1の細胞内ドメインには、共生応答を誘導する能力が無い。しかしNFR1が持つ3アミノ酸のYAQ配列を導入すると、AtCERK1は共生応答誘導能力を獲得する。しかし昨年度の研究から、トマトやトウゴマなどの非マメ科植物CERK1ホモログはYAQ配列を保持しており、さらにマメ科のNFR1と同様に共生応答誘導能力を持つことが明らかとなっている。
根粒菌共生はマメ科植物に限定されているが、そのメカニズムの一部は陸上植物の80%が共生する菌根菌共生にも使われている。NFR1はこの菌根菌共生にも必須の経路を活性化する役割を持つが、菌根菌共生においてNFR1に相当する受容体はこれまで知られていない。我々はCERK1が菌根菌共生においてNFR1と同等の役割を果たしていると考え、菌根菌共生を行うイネにおいてCERK1遺伝子の破壊株を作製して解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の想定とは異なる予想外の展開となっているが共生と防御の関係について、より重要な発見ができている。NFR1の先祖遺伝子でありキチン防御応答に関わるCERK1は最近の研究で糸状菌だけではなく細菌に対する防御応答にも関与することが報告されており、防御応答の中心的な役割を果たすことが明らかになっている。本研究で作製したイネのcerk1変異体の予備的な解析結果では、CERK1が共生に関与することを示す結果を得ており、非常に大きなインパクトをもたらす研究になる見込みである。

今後の研究の推進方策

本研究の主要な解析結果はそろいつつあり、最終年度である本年度はこの結果をまとめて論文投稿を行う。またインパクトの高い結果が得られているので、これを国内外に積極的に発信していく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] 植物ー微生物間相互作用における抵抗性から共生への進化のメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      中川知己
    • 学会等名
      第86回日本細菌学会総会シンポジウム
    • 発表場所
      千葉市・幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      20130318-20130318
    • 招待講演
  • [学会発表] Arbuscular mycorrhizal symbiosis in Marchantia paleacea var. diptera: Tracing the evolutionary origin of symbiotic plant-microbe interaction.2012

    • 著者名/発表者名
      中川知己
    • 学会等名
      Marchantia workshop 2012シンポジウム
    • 発表場所
      Hotel Greenpia Minami Aso
    • 年月日
      20121117-20121117
    • 招待講演
  • [学会発表] フタバネゼニゴケが紐解く植物-微生物間相互作用の進化の歴史 ~防御と共生の起源を探る~2012

    • 著者名/発表者名
      中川知己
    • 学会等名
      日本植物学会2012年度シンポジウム
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      20120914-20120914
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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