研究課題/領域番号 |
23688013
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加藤 明宣 近畿大学, 農学部, 講師 (00454645)
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キーワード | ネットワーク / シグナル伝達 / 進化 / 細菌 / 感染症 / two-component system / connector / ゲノム |
研究概要 |
平成23年度に実施した研究の成果として、まず、近縁病原細菌における情報伝達クロスレギュレーション進化の体系的解析を進める上で基礎となる二成分制御系(two-component system, TCS)遺伝ストックの構築を開始した。まず、サルモネラにおいてレスポンスレギュレーター(RR)/センサー・ヒスチヂンキナーゼ(HK)ダブル欠損株の構築が行われ、欠損の確認が進行中である。また、種々の菌株でレポーターアッセイを行う際、共通に用いられるRRの代表的ターゲット遺伝子のプロモーター/GFPレポーターシステムの構築を行った。 次に共同研究の成果として、二成分制御系のセンサーHKがシグナルを受容後、自己リン酸化によって生じる副産物ADPによりフィードバッック調節を受ける分子機構についての研究成果をMolecular Cellに発表した。また、リポポリサッカライド修飾と二成分糸御系の活性化状態を繋ぐsmall geneについての研究成果を得ている。センサーを抑制するsmall RNAが、LPS修飾酵素を抑制する疎水性ペプチドをコードし、多段階的なフィードバック調節を形成していることを明らかとした。更に、phosphotransferase system (PTS)とTCS間でのクロスレギュレーションを仲介する因子RcsGについての単離と解析が行われた。これらの研究成果は学術誌においても近く公表される見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に開始する「近縁病原性細菌における二成分制御系遺伝子ストック」については、交付申請書に記載した全細菌種において、同時進行しているわけではないが、基本的な遺伝的ツールと遺伝子操作の確立がなされ、その方法論をサルモネラから順次他の細菌種へ適用していく下準備が整った。このことから、おおむね当初計画に沿って進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目からは、サルモネラの二成分制御系遺伝子ストックを実際に用い、GFPレポーター/接合伝達プラスミドをレスポンスレギュレーター(RR)/センサー・ヒスチヂンキナーゼ(HK)ダブル欠損株に掛け合わせ、遺伝子発現パターンのプロファイリングを行うことでクロスレギュレーションを検出する。そのうち、コネクター依存的なクロスレギュレーションに分類された場合、その分子機構の解明を行う。また、他の細菌種(特に、シトロバクター、イネ内穎褐変病菌を重点的に、)二成分制御系遺伝子ストックの構築を推進し、順次クロスレギュレーションの検出を開始する。
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