研究課題/領域番号 |
23688013
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加藤 明宣 近畿大学, 農学部, 講師 (00454645)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ネットワーク / シグナル伝達 / 進化 / 細菌 / 感染症 / two-component system / connector / ゲノム |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究の成果として、まず、近縁病原細菌における情報伝達クロスレギュレーション進化の体系的解析を進める上で基礎となる二成分制御系遺伝ストックの構築を行った。サルモネラ菌、シトロバクター菌、イネ内穎褐変病菌においてレスポンスレギュレーター (RR)/ センサー・ヒスチヂンキナーゼ(HK)ダブル欠損株の構築が行われた。これまでに、腸内細菌科に属する種々の菌株でレポーターアッセイを行う際、共通に使用可能な、ターゲット遺伝子のプロモーター/GFPレポーターシステムの構築が行われたが、検出感度に問題から、ルシフェラーゼをレポーターとした新しいシステムの構築を行った。更に、RRを高発現できるプラスミド系列の遺伝ストックの構築についても開始し、サルモネラにおいて約50%が完成した。 次に共同研究の成果として、新規膜ペプチドPmrRを介した、細菌におけるリポ多糖の修飾の状態とシグナル伝達系との相互フィードバック制御(Reciprocal control between a bacterium’s regulatory system and the modification status of its lipopolysaccharide)に関する研究成果が米国Molecular Cell誌に公表された。大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンターが監修する、ライフサイエンス 新着論文レビューにおいても速報レビューが公表された。更に、CpxR/CpxA系を活性化する因子CacA、及び、PTSとTCS間でのクロスレギュレーションを仲介する因子RcsGについての単離と解析が行われ、学会等で公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に開始した「近縁病原性細菌における二成分制御系遺伝子ストック」については、サルモネラを中心に、基本的な遺伝的ツールとしての有効性が評価でき、シトロバクター、イネ内穎褐変病菌へと順次適用された。さらに、RRの高発現系の構築も進み、腸内細菌科の細菌全般で遺伝子発現パターンのプロファイリングを行う準備が整った。このことから、おおむね当初計画に沿って進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目からは、腸内細菌科に属する多菌種においての二成分制御系遺伝子ストックを実際に用い、ルシフェラーゼレポーター/接合伝達プラスミドをRR/HKダブル欠損株に掛け合わせ、遺伝子発現パターンのプロファイリングを行うことでクロスレギュレーションを検出する。また、ルシフェラーゼレポーター/接合伝達プラスミドとRR高発現系についても多菌種において掛け合わせ、遺伝子発現パターンのプロファイリングを行うことでクロスレギュレーションを検出する。そのうち、コネクター依存的なクロスレギュレーションに分類された場合、その分子機構の解明を行う。
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