研究課題
本年度はまず、昨年度の研究によって開発に成功した2種の新規経シナプス性トレーサー・トランスジーンと、既知のトランスジーンである小麦胚芽レクチン (wheat germ agglutinin, WGA) との性質の違いをしらべることを目的にトランスジェニックメダカ系統の作出を行った。メダカホスホリパーゼC-beta 2 (mfplcb2) プロモーターにWGA、2種の新規トランスジーンを接続した3種のコンストラクトをメダカ受精卵に微量注入し、得られた稚魚を選別して、G0世代のトランスジェニックメダカをそれぞれ数匹得た。G0メダカを野生型に掛けあわせて得たF1メダカをさらに野生型と掛けあわせて、各コンストラクトの系統を数系統ずつ得た。F2世代では各トレーサーに対する抗体を用いて、免疫組織染色を行い、味蕾細胞および神経細胞で強い染色が得られる系統を選別した。今後、これら系統を用いて、トランスジーン間の違いを評価する予定である。昨年度に引き続き、メダカ味細胞特異的に発現を誘導するプロモーター候補として、各味細胞に発現する遺伝子数種の上流配列を取得した。これらをGFP遺伝子の上流に結合したコンストラクトを作製して、メダカ受精卵に微量注入した。味蕾細胞でのGFP蛍光を観察し、評価を行った。その結果、plcb2発現細胞に発現が内包されるt1r1のプロモーターの取得に成功した。これとトレーサー・トランスジーンを接続したコンストラクトを作製し、トランスジェニックメダカ系統の作出を行なっている。今後さらに、plcb2発現細胞と排他的に発現する遺伝子のプロモーターの取得を目指す。
3: やや遅れている
トレーサー・トランスジーン候補が複数得られるという良い意味で想定外の結果となり、それらの候補間の比較が必要となった。メダカ味細胞特異的に発現を誘導するプロモーターの取得に手間取っている。以上の解析に時間がとられ、トランスジェニックマウス作出が行えていない。
メダカ味細胞特異的に発現を誘導するプロモーターについて、新たに取得した候補配列の評価を優先的に行う。トレーサー・トランスジーン候補については、想定外に複数が得られたため、研究計画にはなかったが、候補間での性能評価のための解析を行う。本年度中にトランスジェニックマウスの作出を達成する。
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