研究課題
BcsABCDの精製実験を行った。BcsDにHisタグをつけて精製を行ったところ、BcsAとBcsDに相互作用があることを示唆するデータを得た。2013年1月に別グループにより報告された、セルロース合成酵素複合体のX線結晶構造解析による三次元構造(PDB ID: 4HG6)に、平成23年度に予備的な解析の結果として得られたBcsBの構造データが当てはまることを確認した。さらに、先述のPDBモデルでは、BcsABのコンプレックスが、1量体として結晶内に充填されているが、我々のデータは、BcsBが4量体である可能性を示唆した。構造解析計算に用いた粒子数が少ないために、発表するには信頼度を高める必要があるが、上述のX線結晶構造解析からは得られない構造情報を期待できることが判明するとともに、我々の持つ実験系で構造解析を進めることが十分可能であることが示された。前年度に構築した、セルロース合成酵素の大腸菌内再構成系「CESEC」を使い、20のセルロース合成酵素点変異体のセルロース合成活性を定性評価し、配列保存性の高いアミノ酸や、先述のX線結晶構造から重要と推測されたアミノ酸に変異導入した場合には、セルロース合成活性が低下する結果を得た。また、CESECで合成されるセルロースは、大腸菌の細胞外に合成されることが、蛍光顕微鏡と電子顕微鏡観察の結果から判明した。特に電子顕微鏡観察の結果から、大腸菌の菌体除去処理前のセルロースは微細な繊維構造を取ることが判明した。繊維構造のセルロースは、前例に照らすとセルロースIであると推測されるが、菌体除去のために使った酸処理や希アルカリ処理により得られたセルロースはII型結晶である。従来の知見によれば、これらの処理でI型からII型への結晶系変換が起こるとは考えにくい。この繊維構造は、慎重な解釈が必要だが、大変興味深い実験データである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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