研究課題/領域番号 |
23688023
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
糸井 史朗 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30385992)
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キーワード | フグ毒 / テトロドトキシン / TTX / クサフグ / トラフグ |
研究概要 |
本研究は、「フグは毒を何に使うのか?」という究極の命題へのアプローチとして、有毒フグであり安定して入手可能なクサフグを主なモデル魚に用いて実施している。今年度は主に、以下の2点について調べた。 まず、「季節変改に伴う天然クサフグ試料におけるTTXの局在変化」については、毎月神奈川県横須賀市長井の定点でクサフグの試料採取を行い、LC/MS/MS分析により各組織中のTTX量の変化を測定するとともに、TTXの局在変化について検討した。その結果、オスでは、年間を通して皮膚に毒を局在させていること、皮膚への局在が低下する4月および8月には肝臓への局在が高まることが明らかとなった。一方メスでは、卵巣へのTTXの局在が高い傾向にあり、オスと比べると皮膚への局在は低いものの冬季、5月および8月には皮膚への局在が高かった。また1個体あたりの有する最大TTX総量は、いずれの時期でもメスよりもオスで高く、その濃度もオスのほうがはるかに高かった。さらに、各組織における毒の分布にも雌雄差があった。例えば、一般に卵巣は猛毒、精巣は弱毒~無毒とされるが、これは生殖腺が確認できればその成熟段階を問わず卵巣でTTX濃度が高かった。猛毒とされる肝臓では、年間を通じてメスよりもオスでそのTTX含量および局在量が高かった。 「孵化仔魚におけるTTXの局在」については、神奈川県藤沢市江の島で産卵されたクサフグの受精卵を収集して孵化させた後、当該仔魚を対象に抗TTX抗体を用いる免疫染色に供してTTXの局在を調べた。また、トラフグについては愛知県水産振興基金栽培漁業部に提供された孵化仔魚試料を対象といて同様の手法で調べた。その結果、クサフグおよびトラフグともに、孵化直後の仔魚の体表を取り囲むように体表にTTXが局在していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通りに進展しているが、研究を進める中でこれまでには報告のない現象などが観察され、新たな課題として対処している。そのため、当初の研究計画を前倒しできる状況ではないものの、着実に進展しているものと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画自体、複数年にわたって実施するものが多く含まれているため、これらを確実にこなしていく予定である。またこれら研究を進めていく中で、予期しない現象が観察されることを予想し、これらの現象をできるだけ取りこぼすことのないよう進めるよていである。なお、当初予定していなかった飼育実験等を行う必要性が出てきているが、これについても対応可能な範囲であるため、当初の計画に加えて実施する予定である。
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