研究課題/領域番号 |
23688027
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 幹佳 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (20400179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コロイド / 粘土 / 凝集分散 / 界面電気現象 / 沈降 / レオロジー / 固液分離 / 移動現象 |
研究概要 |
本研究では,ミクロなコロイド界面化学と土壌や水環境を扱うマクロな農業工学を基礎から応用まで体系的に融合し,土壌と水環境の保全技術を確立することを目的とする.この目的を達成するため,多様なイオン,粘土,コロイドを含むヘテロ系でのコロイドの荷電・凝集特性と関連するコロイド分散系のダイナミックな挙動とを実験により検討した.本年度の成果は以下の通りである. 1.数百μmほどの大きな粒径を持つ酸化アルミナビーズの固液界面の帯電機構について,クロマトグラフィー法と流動電位法による実験と1pK Sternモデルによる解析により検討した.実験により,比表面積の小さな粒子の電荷と電位とを評価することができた.しかしながら,現時点では電荷と電位の両者を同一のモデルパラメータで記述することができず,研究の発展が必要であることがわかった. 2.火山灰土壌を主成分とする天然由来の凝集材料について,その凝集分散と帯電特性を調べ,貯水池濁水への適用性について考察した.その結果,使用した凝集材料が貯水池濁水を効果的に浄化できる条件が明らかとなった. 3.表面電荷がpHに依存するカルボキシルラテックス粒子の凝集速度をブラウン運動および撹拌乱流の条件下において測定した.その結果,流れの有無により,緩速凝集領域における凝集速度の表面電荷への依存性が異なることが明らかとなった.その一方,流れの有無によらず,ゼータ電位の大きさが約30mV以下になると,急速凝集領域に達することが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のイオン,粘土,コロイドを含む複雑なヘテロ系における凝集分散,荷電,分散系ダイナミクスの諸特性を実験により検討できている.また,部分的には理論的な解析が進んでいる.さらに,土壌侵食のコロイド界面工学的な抑制技術の研究,不飽和土中のコロイド輸送の研究についても実験系の構築がほぼ完了している.以上により課題の遂行は順調に進んでいると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究遂行上で大きな問題となる事象は生じていない.今年度の成果をベースとして今後の研究を展開する.なお,申請時に計画していた博士研究員の採用は予算的に困難であるため,謝金を活用した実験補助や大学院生の研究協力を依頼する.
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