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2012 年度 実績報告書

ブタ母乳中タンパク質の網羅解析と機能評価-健全離乳システム構築のための基盤研究-

研究課題

研究課題/領域番号 23688034
研究機関京都府立大学

研究代表者

井上 亮  京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (70443926)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードブタ / 初乳 / T細胞 / B細胞 / 乳量
研究概要

本年度は、まず、娩出後24時間における母豚の乳首毎の乳量・抗体濃度、および初乳中の免疫細胞の変動を解析した。
母豚4頭の乳首毎に乳量・抗体濃度を測定したところ、前方(前足側)の乳首が後方のものに比べ乳量が多く、また分泌される乳中の抗体(IgG、IgA)濃度も高いことがわかった。子豚は乳を摂取する乳首が決まっているが、前方の乳首から摂取する個体の方が増体が良いと報告されており、本成果はこれを裏付けるものとなった。
初乳中の免疫細胞、顆粒球・単球・リンパ球の割合の分娩後24時間の変動をフローサイトメーターで確認したところ、初乳中の免疫細胞の大半は顆粒球であることがわかった。単球はほとんど確認できず、リンパ球は分娩直後から6時間後までをピークとして漸次減少し、分娩24時間後には仔の離乳時(分娩21日後)と同程度まで減少した。分娩直後に検出されるリンパ球をより詳しく解析したところ、成熟B細胞はほとんど含まれず殆どがT細胞であることがわかった。
次に、初乳中のT細胞の特徴・機能を解析すべく、T細胞をセルソーターで分取し、DNAマイクロアレイにより遺伝子発現を網羅的に解析した。遺伝子発現プロファイルを同様の方法で解析した血中のT細胞と比較したところ、2種の接着因子および短期活性化マーカーが初乳T細胞で血中T細胞よりも高発現していることが明らかになった。
初乳中のT細胞は生後24時間以内に子豚に移行すると報告されているが、今回の解析で明らかになった2種の接着因子はこの移行に関与している可能性が考えられる。また短期活性化マーカーが上昇していたことから、初乳の細胞は分泌時に活性化する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、ブタ初乳および常乳のプロテオーム解析を終了している。また、仔の腸管免疫系の発達過程の詳細な解析も終了しており、各乳首毎の娩出後24時間の乳量の差も検討し終えている。さらには研究開始当初には予定していなかった初乳中の免疫細胞の解析も終了しており、初乳中のリンパ球、特にT細胞の機能や特徴を検討することができた。研究成果の発表という点においては、当初予定よりもやや遅延しているが、1本の査読付き論文の採択に至っており学会発表も含め今後順次進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は初乳が子豚の免疫系の発達に与える影響を具体的に明らかにすべく研究を進める。具体的には初乳を摂取させる群と摂取させない群を設け、各群の免疫系の発達を多方面から検討する。十分な子豚の数を確保するために母豚を数等用意する必要があると考えられるため、研究協力者と十分な調整のうえ実施することを心がける。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Shotgun proteomic analysis of porcine colostrum and mature milk2014

    • 著者名/発表者名
      Shohei OGAWA, Takamitsu TSUKAHARA, Ryoichiro NISHIBAYASHI, Masako NAKATANI, Mie OKUTANI, Nobuo NAKANISHI, Kazunari USHIDA, Ryo INOUE
    • 雑誌名

      Animal Science Journal

      巻: 85 ページ: 440-448

    • DOI

      doi: 10.1111/asj.12165

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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