研究課題/領域番号 |
23688036
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
李 智博 神戸大学, 大学院・農学研究科, 特命助教 (50372660)
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キーワード | 応用動物 / 発生・分化 / コンデンシン / コヒーシン / 染色体 / 減数分裂 |
研究概要 |
本申請課題の目的は、哺乳類の減数分裂過程における染色体の動態を制御する分子メカニズムを理解することである。特に、コヒーシンやコンデンシンと呼ばれる、染色体の高次構造を制御するタンパク質複合体に着目し、減数分裂に特徴的な相同染色体の対合・組換えや二価染色体の構築にこれらの分子がどのように関与するかを明らかにすることを目標としている。 本年度は、各種のコンデンシン抗体を卵母細胞にインジェクションすることにより、コンデンシンの機能を撹乱した。その結果、コンデンシンIとIIはともに、二価染色体の正常な構築や姉妹キネトコアの同一方向性の確立に必須であることが明らかとなった。この成果は、Mol Biol Cell誌[vol 22(18)]に掲載され、その号の表紙にも採用された。今後はさらに、コンデンシンの減数分裂の前期における役割や、コンデンシンIとIIの機能差を明らかにするために、コンディショナルノックアウトマウスを利用して、生体内機能の解析を行う予定である。またコンデンシンの解析と平行して、減数分裂特におけるコヒーシンの解析を行っている。現在、3D-SIMシステムを用いて、体細胞分裂型コヒーシンサブユニットRAD21の減数分裂期パラログであるREC8とRAD21Lのシナプトネマ構造上のより詳細な位置関係を調べている。また、これらコヒーシンサブユニットのゲノムワイドな局在位置を、ChIP-Sequence法により、解析中である。さらに、コヒーシンサブユニットRAD21Lのノックアウトマウスを用いて、減数分裂における生体内機能の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属研究機関に変更があったので、研究環境の整備や動物実験および遺伝子組換え実験の計画書の承認などに時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、コンデンシンIとIIの減数分裂における生体内機能をより詳細に調べるために、生殖細胞特異的にコンディショナルにコンデンシンサブユニットをコードする遺伝子をノックアウトできるマウスを用いて解析を行う。また、RAD21Lのノックアウトマウスを用いて、その生体内機能、特に相同染色体の対合・組換えにおける役割を明らかにする。さらに、3D-SIMによるコヒーシンのシナプトネマ構造における局在を決定するとともに、ChIP-seq法により、3種類のコヒーシンのゲノムワイドな局在位置を決定する。
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