研究課題
本研究の目的は、アレルギー性疾患の病態制御メカニズムにおけるサーカディアンリズムの役割を分子レベルから解明し、得られた研究成果に基づいて、時間薬理学の概念を応用した新しいアレルギー治療戦略を構築することである。最終年度である本年度は、アトピー性皮膚炎自然発症動物モデルであるNC/Tndマウスおよびイヌを用いて以下の実験を行った。1.NC/Tndマウスの引っ掻き行動におけるサーカディアンリズムのメカニズム解析: 副腎由来グルココルチコイドの役割について解析した。NC/Tndマウスにおいては、血中グルココルチコイドに日内変動が検出された。外科処置により、NC/Tndマウスの両側副腎を摘出すると、引っ掻き行動のリズムが消失し、総引っ掻き回数の有意な増加が認められた。2.犬のヒスタミンに対する皮内反応のサーカディアンリズム解析: 健常犬を用いて、アレルギー性炎症において重要なヒスタミンに対する皮内反応のサーカディアンリズムとそのメカニズムについて解析した。その結果、ヒスタミンに対する発赤・膨疹は、昼間に強く、夜間に弱いことが明らかとなった。さらに、薬剤により血中グルココルチコイド濃度を調節すると、ヒスタミンに対する反応性のリズムが消失した。以上の実験結果から、副腎由来グルココルチコイドがアレルギー性炎症のサーカディアンリズムにおいて重要な役割を果たしていると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Immunity
巻: 39 ページ: 97-110
10.1016/j.immuni.2013.06.012.