研究課題
アブシジン酸(ABA)の認識を制御するタンパク質複合体の実態とその制御機構について解析を行った。昨年度同定したABA受容体PYL9に相互作用する新たな候補相互作用因子PYP1 (PYL9 interacting protein)を過剰に発現させた植物体を作成し、ABA応答を調べたが、PYL9過剰発現体のようなABAに対する感受性に変化は見られなかった。PYL9の候補リン酸化部位と候補ユビキチン化部位の同定にも成功し、それら候補翻訳後修飾部位のアミノ酸を置換させた変異タンパク質とABA応答で働くタンパク質脱リン酸化酵素(PP2C)の一つであるABI1との相互作用を調べたところ、あるアミノ酸を置換したPYL9はABI1との相互作用に影響を与える結果を得た。さらに、PYL9に結合する天然化合物の探索を行い、ABAと類似した作用を示すが、ABAとは異なる化合物がPYL9と結合する可能性を示唆する結果を得た。また、ABA応答において重要なPP2Cの一つであるAHG1といくつかのABA受容体ファミリーメンバーとの相互作用を確認したが、相互作用は見られなかった。AHG1と似た機能を示すと考えられているAHG3は、ABA受容体ファミリーメンバーと相互作用し、先行研究で見いだしたAHG1相互作用因子AHIP (AHG1 interacting protein)とも相互作用することを考え合わせると、ABAの認識を制御するタンパク質複合体であるABA受容体とPP2Cは、相互作用因子をうまく使い分け、ABAシグナルを伝達すると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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eLife
巻: 3 ページ: e01739
10.7554/eLife.01739
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