研究概要 |
医薬リード探索に直結する重要な非天然アミノ酸、特に細胞死に関与するp53とMdm2の相互作用の制御を可能とするための非天然アミノ酸として「連続4置換炭素を有するα,β-ジアミノ酸誘導体」の合成を実施した。イミダゾリンへの誘導を視野にいれ、イソチオシアネートエステルとケトイミンとのMannich型反応により従来合成不可能であった、連続4置換炭素を有するユニットを触媒的に合成する手法を確立した。 また、より精密なデザインをin silicoで行い、スピロオキシインドール骨格を有する化合物がもっとも有望であることが判明した。そこで、その成果をもとにトリプトファンミミックになりうるオキシインドールユニットを導入した化合物の合成についても検討を進め、オキシインドールにイソチオシアナート基がついた求核剤 を利用する反応系の開発に成功した。これにより各種スピロオキシインドール骨格を有するライブラリーを構築することに成功した。 また、γ-ブチロラクタム骨格を基盤としたライブラリー構築を目指し、α,β-不飽和γ-ブチロラクタムを用いたビニロガス反応の拡張を行った。その結果、anti-ビニロガスマンニッヒ反応の開発に成功した。この手法を応用しアッセイ系の確立できているプロスタグランジンEP4受容体のアゴニスト(骨粗鬆症治療薬リード)に対して、有望と思われる化合物群の合成を進めた。また、別なアプローチとして、イソインドリノン骨格をもつ化合物の合成法の確立、についても実施した。これにより多面的に優れた医薬リードを探索するための基盤を確立することができた。
|