研究課題
本研究の目的は、「加齢に伴う暑熱環境下の自律性体温調節機能の低下は、血液量低下に起因した心臓の形態・機能の劣化によって引き起こされる」という仮説を検証すること、さらに、「高齢者でも持久性トレーニングと栄養摂取を用いた血液量増加によって、心臓の形態・機能の改善を介して、体温調節機能が改善する」ことを実証することである。本年度の研究目的は、「血液量の加齢に伴う低下、および、持久性トレーニングによる増加、さらに、血液量の変化に起因する心臓の形態・機能の変化を介した体温調節機能の改善には大きな個人差が認められ、それはアルブミン合成遺伝子の一塩基多型に関与する」という仮説を検証した。これまでの研究で、2~3ヶ月間のトレーニングに参加した高齢男性12名を対象とした。トレーニング後に血液量増加反応の大きい6名、小さい6名の2群に分け、最高運動量、下肢温浴時の自律性体温調節応答および温度感覚、心臓の形態・機能の測定について解析し、比較検討した。また、椅座位安静時に肘正中静脈より採血し、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度、血漿アルブミンおよび総蛋白濃度、血漿浸透圧を測定した。その結果、トレーニング後に血液量増加反応の大きい6名では、小さい6名に比べて、トレーニング後に最高運動量、下肢温浴時の自律性体温調節応答が大きい傾向が認められた。血液量の増加と血漿アルブミン総量および蛋白総量(それぞれ、血漿量×血漿アルブミン濃度および総蛋白濃度)は正の相関関係にあり、アルブミン合成が高い被験者ほど血液量の増加が大きいことが確認できた。この結果は、血液量の変化に起因する心臓の形態・機能の変化を介した体温調節機能の改善はアルブミン合成遺伝子の一塩基多型に関与することを支持する。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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