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2011 年度 実績報告書

神経およびグリア細胞におけるイノシトール三リン酸を介したシナプス維持機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23689015
研究機関東京大学

研究代表者

大久保 洋平  東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40422282)

キーワード脳・神経 / イノシトール三リン酸 / カルシウム / mGluR / アストロサイト / シナプス
研究概要

成体の脳神経回路が生涯にわたって安定して機能し続けるには、神経回路の根幹であるシナプスの機能が不用意に変化せず維持される必要がある。ヒトにおいては、健常な脳はおよそ100年にも渡りその機能を維持し続け、驚くべき長期安定性を示す。しかしシナプスはシナプス可塑性によりダイナミックな変化を示すことが知られている。増強と抑圧の動的バランスだけでは、シナプス機能を維持するにはあまりに不安定であり、シナプス維持を特異的に担う分子機構の存在が期待される。しかしながら、いまだ十分な知見は得られていない。古来より、「勘が鈍る」という、適切な入力の中断による脳機能の低下を示唆する概念が存在する。申請者らは、この概念を脳における持続的経験入力依存的なシナプス維持機構という、実験的に検証可能な課題に翻訳し研究に着手した。
本年度は、感覚入力が成熟動物におけるシナプス維持に与える影響を明らかにするための研究を、大脳皮質カラム内の代表的投射である第4層-第2/3層投射を対象として行った。放出確率(神経細胞機能)については、第2/3層錐体細胞にパッチクランプ法を適用し、第4層刺激時の興奮性後シナプス電流(EPSC)におけるPaired Pulse Ratioや使用依存性NMDA受容体アンタゴニストMK-801の結合速度により解析した。神経回路形成が完了した成熟マウスのヒゲを切除することにより、大脳バレル皮質の対応カラム内において、放出確率が低下することを確認した。またmGluRアンタゴニストの投与も放出確率の低下を惹起した。さらにシンドビスウイルスベクターを用いて、第2/3層錐体細胞選択的に5ppaseを発現させることによっても、放出確率が低下した。アストロサイト機能解析については、現在準備を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経細胞機能については、予定通り解析が進んでいる。アストロサイト機能についても、解析準備がすすんでおり、おおむね研究実施計画通り進展していると言える。

今後の研究の推進方策

研究実施計画どおり、シグナル分子可視化解析にも着手する。またヒゲ入力以外の感覚入力の寄与についても研究に着手する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Imaging of Ca2+ and related signaling molecules and investigation of their functions in the brain2011

    • 著者名/発表者名
      Yohei Okubo
    • 雑誌名

      Antioxid Redox Signal

      巻: 14 ページ: 1303-1314

    • DOI

      10.1089/ars.2010.3367

    • 査読あり
  • [学会発表] グルタミン酸スピルオーバーの時空間動態2012

    • 著者名/発表者名
      大久保洋平
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      信州大学松本キャンパス(長野県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-31
  • [学会発表] イノシトール1,4,5-三リン酸シグナリングは小脳バーグマングリアのグルタミン酸取り込み能力を維持する2012

    • 著者名/発表者名
      大久保洋平
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] イノシトール1,4,5-三リン酸シグナリングは小脳バーグマングリアのグルタミン酸取り込み活性を維持する2011

    • 著者名/発表者名
      大久保洋平
    • 学会等名
      第125回日本薬理学会関東部会
    • 発表場所
      日本大学薬学部(千葉県)
    • 年月日
      2011-10-15
  • [学会発表] イノシトール1,4,5-三リン酸シグナリングはバーグマングリアのグルタミン酸取り込み活性を維持する2011

    • 著者名/発表者名
      大久保洋平
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [備考]

    • URL

      http://calcium.cmp.m.u-tokyo.ac.jp/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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