研究課題/領域番号 |
23689015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 洋平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40422282)
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キーワード | 脳・神経 / イノシトール三リン酸 / カルシウム / mGluR / アストロサイト / シナプス |
研究概要 |
成体の脳神経回路が生涯にわたって安定して機能し続けるには、神経回路の根幹であるシナプスの機能が不用意に変化せず維持される必要がある。ヒトにおいては、健常な脳はおよそ100年にも渡りその機能を維持し続け、驚くべき長期安定性を示す。しかしシナプスはシナプス可塑性によりダイナミックな変化を示すことが知られている。増強と抑圧の動的バランスだけでは、シナプス機能を維持するにはあまりに不安定であり、シナプス維持を特異的に担う分子機構の存在が期待される。しかしながら、いまだ十分な知見は得られていない。古来より、「勘が鈍る」という、適切な入力の中断による脳機能の低下を示唆する概念が存在する。申請者らは、この概念を脳における持続的経験入力依存的なシナプス維持機構という、実験的に検証可能な課題に翻訳し研究に着手した。 本年度は、感覚入力が成熟動物におけるシナプス維持に与える影響を明らかにするための研究を、大脳皮質カラム内の代表的投射である第4層-第2/3層投射を対象として行った。放出確率(神経細胞機能)については、第2/3層錐体細胞にパッチクランプ法を適用し、第4層刺激時の興奮性後シナプス電流(EPSC)におけるPaired Pulse Ratioや使用依存性NMDA受容体アンタゴニストMK-801の結合速度により解析した。神経回路形成が完了した成熟マウスのヒゲを切除することにより、大脳バレル皮質の対応カラム内において、放出確率が低下することを確認した。またmGluRアンタゴニストの投与も放出確率の低下を惹起した。さらにシンドビスウイルスベクターを用いて、第2/3層錐体細胞選択的に5ppaseを発現させることによっても、放出確率が低下した。アストロサイト機能解析については、現在準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞機能については、予定通り解析が進んでいる。アストロサイト機能についても、解析準備がすすんでおり、おおむね研究実施計画通り進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画どおり、シグナル分子可視化解析にも着手する。またヒゲ入力以外の感覚入力の寄与についても研究に着手する。
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