研究課題/領域番号 |
23689021
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
矢尾 育子 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60399681)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シナプス / SCRAPPER / 蛋白質 / 極性 / 老化 |
研究概要 |
選択的タンパク質分解は様々な細胞機能の制御に重要であり、細胞内輸送においても重要であることが予想される。本研究では、申請者が発見したユビキチンリガーゼSCRAPPER(Yaoら Cell 2007)を介したKIF1モータータンパク質の動態制御に着目して解析を行う。 現在標的分子の有力候補としてモーター蛋白質KIF1が得られていることから、シナプス関連タンパク質に対する抗体を用いたウェスタンブロット法により抽出物に含まれる量を検討するとともに、免疫組織化学実験での脳切片観察により脳組織における発現量を検討した。また、これまでの解析では得られていない細胞内での動態の可視化を試みた。GFP-KIFを細胞に発現させその動態を観察した。インキュベータ型の顕微鏡での観察を行い、並行して全反射顕微鏡による膜近傍での分子動態の観察を行った。その結果、SCRAPPERの発現に応じてGFP-KIF1の発現量が変動する様子が観察された。さらに、変動している分子の検出方法として質量分析イメージングを取り入れ、ノックアウトマウスでの観察を行った。質量分析イメージングは、申請者らが確立した手順で測定を行い、必要に応じて条件を検討する。組織をクライオミクロトームで薄切し電導性のITOコーティングを施したスライドガラスに載せる。スプレー法によりマトリクスを塗布し、質量分析イメージング測定を行い、データを取得した。 SCRAPPER遺伝子のノックアウトマウスの海馬スライスでは、Long-term potentiationに異常があることが分かっている。この結果を論文として報告した。また、SCRAPPER分子の解析について第34回日本神経科学大会、北米神経科学学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画を遂行し目標を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞と機能分子、その相互作用について数理モデル化を行い、ユビキチンプロテアソーム系による細胞内輸送・極性の制御機構の統合的な理解をはかる。
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