研究課題/領域番号 |
23689026
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80334217)
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キーワード | サルモネラ / カスパーゼー8 / GogA / エフェクター / SPI1 / SPI2 |
研究概要 |
サルモネラをマクロファージに感染させるとSPI1依存的にカスパーゼ-8を活性化することを見出し、その活性化に必要な因子としてGogA、GtgA2を同定している。2つのタンパク質は7アミノ酸だけが異なる非常に相同性の高いタンパク質であるにも関わらず、カスパーゼ-8活性化能はGogAのほうが著しく高い。この活性について検討するため、GogA-CyaおよびGtgA2-Cyaを発現するプラスミドを構築し、サルモネラに導入しマクロファージ内への移行についてcAMP量を指標に比較した。その結果、GogAのほう移行量がGtgA2と比較して多いことが示されたことから、細胞内移行量によりカスパーゼ-8活性が調節されることが示唆された。またGogA、GtgA2の宿主内局在を調べるため、GogA-3FLAGおよびGtgA2-2HAを発現するプラスミドを構築し、感染細胞をFLAG抗体またはHA抗体で染色し共焦点レーザー顕微鏡により観察した。その結果、GogA、GtgA2ともにマクロファージ細胞質に局在することが明らかとなった。さらに、サルモネラSPI1およびSPI2欠損株を用いた実験から、GogA、GtgA2はSPI1に加えてSPI2でも分泌されることが明らかとなった。以上の結果よりGogA、GtgA2はSPI1、SPI2両方から移行される新規サルモネラエフェクターであることが明らかとなった。 また、GogA-3FLAG、GtgA2-2HA発現サルモネラをマクロファージに感染させてもカスパーゼ^-8活性は見られなかった。このことから、C末端領域の構造がカスパーゼ^-8活性化に必要であることが示唆された。GogAが直接カスパーゼ^-8を活性化する可能性について、RAW264.7細胞にHalo-GogAをトランスフェクションにより検討したが、カスパーゼ^-8活性は見られなかった。N末端配列はGogAの分泌に必要であると同時にGogAの活性にも起用する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した実験はおおむね順調に行えた。研究遂行に必要な共焦点レーザー顕微鏡が年度末に納入されたので、細胞内動態の研究が次年度以降に行う。また、タンパク質の構造解析のためのGogAを精製できた。今後は結晶化条件について検討する。
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今後の研究の推進方策 |
カスパーゼ^-8活性化経路について明らかにするため、今後は宿主細胞内でのGogAの挙動およびターゲット因子の同定に研究の重点をおく。これまでRAW264.7細胞を用いて実験を行ってきたが、トランスフェクションなどの遺伝学的手法の実験には効率的ではないことが初年度の結果から示された。そこで、マウス大腸上皮細胞CMT93を用いた研究の可能性について検討する。まずサルモネラ感染CMT93細胞でカスパーゼ^-8活性化が誘導されるか確認した後、RAW264.7細胞と並行して実験を進める。
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