研究課題/領域番号 |
23689027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
KIM Minsoo 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50466835)
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キーワード | 病原細菌 / エフェクター / 阻害剤 |
研究概要 |
腸管病原細菌による腸管感染疾患は、開発途上国を中心に毎年200万の人命を奪い、依然として大きな脅威となっている。しかし、近年、多剤耐性菌による感染症例が増加し、新たな治療薬の開発が望まれている。本研究では、赤痢菌の抗生物質に代替となる新しい治療薬の探索・開発を目的とする。赤痢菌の病原因子である蛋白質とそのターゲット宿主蛋白質との結合様式を明らかにし、複合体の機能を阻害する化合物の同定を行う。さらに赤痢菌感染に対する候補化合物の効果を検証し、より優れた抗菌剤の設計を目指す。 本年度は(1)赤痢菌の病原因子(OspE)と宿主ターゲット蛋白質(ILK)との複合体が取る立体構造の決定するための複合体の精製系の構築を行った。OspEとILKは蛋白精製が容易ではないため、さまざまな欠損変異株を作製し、精製が可能な系を確立した。(2)OspEとILKの結合を阻害する化合物を探索するためのハイスルーピットスクリーニング系の確立を目指した。そのためにILKに結合に重要なトリプトファン残基を含むOspEのC末端部分のペプチドを作製した。さらにトリプトファン残基をアラニン変換した変異を持つペプチドを作製し、ILKとの結合力を調べた。(3)赤痢菌治療薬の分子標的を探すために新たな病原因子の機能解析を行った。OsplのX線結晶解析の結果、脱アミド化酵素であることを発表した。さらに新しく同定された病原因子であるOspHの解析を行い、OspHに結合する宿主蛋白質を同定した。OspHを宿主細胞に発現させると宿主細胞の蛋白輸送に異常があることを見いだした8
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病原因子と宿主ターケット蛋白質との複合体構造解析のために蛋白精製系及び阻害剤を探索のためのハイスルーピットスクリーニング系をほぼ確立することができた。さらに新しい病原因子の解析もすすんで、感染への役割が解明されると期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
赤痢菌がIII型分泌装置より分泌する機能未知エフェクターとその宿主標的因を同定し、それらの粘膜感染と自然免疫回避における役割を、分子、細胞、組織、固体の各レベルで解明する。また、OspE-ILK複合体を精製し、X線結晶解析を行い、複合体の立体構造を決定する。さらにエフェクターと宿主蛋白質の結合を阻害する低分子化合物の探索は、確立したスクリーニング方法用いて東京大学生物機能制御化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを行い、阻害剤候補を得る。
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