研究課題
プラス鎖RNAウイルスに属する風疹ウイルスの複製機構について特に研究を行った。風疹ウイルスのcapsidタンパク質には、ウイルス粒子のヌクレオキャプシドを形成する基本的な機能とは別にして、ウイルスのゲノム複製を促進することが知られている。このゲノム複製促進の詳細な作用機序は明らかになっていない。本研究では、感染細胞においてcapsidタンパク質とゲノム複製を担うp150と相互作用しており、それにはcapsidタンパク質のアミノ末端領域の疎水性残基が重要であることを明らかにした。さらにcapsidタンパク質のゲノム複製促進機能はp150との相互作用能と相関し、強い関連性があることを明らかにした。以上より、capsidタンパク質は自身のアミノ末端を介してゲノム複製を担うp150と相互作用し、p150と協調的に機能してゲノム複製を促進させていることを明らかにした。また、ゲノム複製に関与するp150は宿主のF-アクチンと共局在することが報告されているが、その生物学的意義は不明である。本研究ではp150のアクチン結合部位を決定した。この部位に変異を導入した変異ウイルスは野生型ウイルスと比較してウイルス増殖性が低下していたが、ゲノム複製には関係がないと考えられた。これらのことから、ゲノム複製が主な機能と考えられているp150は、アクチンとの共同作用としてそれ以外の機能を示すことがはじめて示唆された。風疹ウイルスで明らかにされたゲノム複製メカニズムの一端は、プラス鎖RNAウイルス全般のゲノム複製促進機序の理解に繋がると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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