研究課題
オートファジーは、細胞内に蓄積した不要物質を分解することで細胞内の恒常性を維持する機構である。動物モデルでは、オートファジー不全により種々の疾患を呈することが明らかになり、医学的にもオートファジーを理解することが重要となりつつある。また、オートファジーの活性は、加齢に伴い低下し、肥満、高血糖などでも低下することが明らかになってきた。オートファジー活性が低下すると、細胞内に不要物質が蓄積し、細胞機能が低下することで、老化の促進やメタボリックシンドロームを加速させる原因になりうる。こうした背景から、医療の場において、患者個人が持つオートファジー活性を知ることは、治療方針の決定や予後の推測に重要な情報となると考えられるが、現状では臨床検査としてオートファジーを測定することはほぼ不可能で、その予備検討すらほとんど行われていない。本研究課題では、オートファジー活性を測定する検査法を開発するための基盤研究として、培養細胞レベルでオートファジー活性測定法を開発し、個体での検査に応用することを目的としている。これまで、HeLa細胞、A549細胞、SH-SY5Y細胞などの培養細胞においてpH依存的に励起波長が変化する蛍光タンパク質Keimaを発現させた細胞を作成しオートファジーが観察できることを確認している。今年度は、Keima発現細胞が正確に定量的にオートファジーを反映できるかの検証を行った。本細胞では、飢餓によるオートファジー誘導時の時間経過に従って590nmで励起されるシグナルが増加することから、このシグナルが半定量的に誘導されたオートファジーの量を表していることが示された。また、本細胞で観察される現象は、オートファジーに必須のVps34やUlk1のノックダウンにより強く抑制されることから、観察されている現象はオートファジーの結果であることが確認された。本法は、オートファジー活性測定に有用な方法であると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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