研究課題
本年度は特に、正常時の筋膜侵害受容の末梢神経機構とその脊髄内投射様式を明らかにした。具体的には、(1) 下腿筋膜にCGRPやPeripherin陽性の侵害受容線維が分布すること、(2) 下腿筋膜への痛み刺激に応じる細径線維受容器が存在し、C線維の約43%は機械・化学・熱刺激に応じるポリモーダル受容器であること、(3) 下腿筋膜からの侵害受容入力は脊髄L2~L4レベルに投射することがわかった。これらの成果は、正常時の筋膜の侵害受容に関する末梢神経機構を示すものであり、これまで骨格筋を包む単なる支持組織としてしか捉えられていなかった、いわば忘れ去られた組織である筋膜が、侵害受容センサーとして新しい基礎医学的役割を担うことを明らかにした。また、骨格筋非活動性侵害受容器の電気生理学的解析では、機械感受性がなく、繰り返し電気刺激による大きな活動依存的伝導速度遅延を示すC線維が存在し、その正常時における割合は約17%であると見積もられた。このことは、痛覚過敏の末梢神経機構に寄与すると考えられる非活動性侵害受容器が確かに骨格筋に存在することを示しており、痛みの教科書を書き換える成果である。さらに、筋・筋膜炎を模した実験的痛覚過敏モデルでは、対照群に比べて、C線維の活動依存的伝導速度遅延が有意に小さかった。このことは病態時では、痛み刺激に対する受容器終末の応答が亢進するだけでなく、活動電位の伝播に関わる軸索部分の伝導性も亢進することを示しており、痛覚過敏の末梢神経機構を説明する新しい着眼点であると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Pain.
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.pain.2013.03.017
The Journal of Physiology (London)
not yet
http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100002661_ja.html