研究概要 |
平成25年度には骨格筋再生能低下以外にも加齢に伴って発症率が上昇する疾患(老化関連疾患)においてC1qおよびWntシグナル活性化が果たす役割の解析を進めた。大動脈縮窄術圧負荷を加えることで心不全を誘導するマウスでは心臓におけるC1q, C1r, C1sの各遺伝子およびWisp1, Wisp2. Nkd1, Nkd2といったWntシグナルの標的遺伝子が増加していた。C1qノックアウトマウスにも同様の手術を行ったところ、心肥大から心不全への進行が抑制されていた。また、心筋細胞や血管内皮特異的にWntシグナルを活性化させるモデルマウスを作成したところ、いずれのマウスにおいても進行性の心機能低下および心不全による死亡率の上昇を認めたことから、C1qおよびWntシグナルの活性化が老化関連疾患である心不全の発症もしくは進行に貢献している可能性が示された。 野生型マウス、C1qノックアウトマウスおよびC3ノックアウトマウスの寿命および加齢にともなう耐糖能異常の表現型を確認した。C1qノックアウトマウスと野生型マウスの寿命に有意差を認めなかったが、C3ノックアウトマウスは有意に寿命が短縮した。野生型マウスでは加齢に伴い体重の増加率は減少するが、C1qノックアウトマウスでは体重が増加し続けた。また、空腹時血糖については野生型マウス、C1qノックアウトマウス、C3ノックアウトマウスで変化を認めず、加齢に伴う耐糖能異常にC1qは影響を及ぼしていない可能性が考えられた。
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