研究課題
わが国で死因の上位を占める心血管疾患の主要な原因であるメタボリックシンドローム・2型糖尿病激増の主因が肥満に伴うアディポネクチン/AdipoRシグナルの作用低下であることを明らかにしてきた。更に最近、骨格筋において、アディポネクチン/AdipoR1がカルシウムシグナル、AMPK/SIRT1を介し、転写共役因子PGC-1αの発現量と活性化を上昇させ、ミトコンドリア機能を制御し、運動と同じような効果を示すことを明らかにした。そこで本研究課題においては、以下の3つの課題を柱とし、代謝に重要な役割を担う骨格筋・肝臓におけるアディポネクチン/AdipoR1経路の解明を行うことを目的とした。(1)骨格筋におけるアディポネクチン/AdipoR1の運動模倣シグナルの解明骨格筋特異的AdipoR1過剰発現マウスを作製し、平成23年度は個体レベルでの骨格筋におけるAdipoR1の生理的・病態生理的意義について検討した。「高脂肪食を負荷した骨格筋特異的AdipoR1過剰発現マウス」と「高脂肪食を負荷した運動トレーニングマウス」について、耐糖能障害、インスリン抵抗性を糖負荷試験、インスリン感受性試験、グルコースクランプ試験などを行い、比較解析を行った。(2)肝臓におけるアディポネクチン/AdipoR1の糖新生抑制メカニズムの解明平成23年度は、肝細胞特異的AdipoR1及びAdipoR2欠損マウスを用いて、肝臓におけるAdipoR1の糖新生抑制効果を個体レベルで検討した。耐糖能障害、インスリン抵抗性、糖新生の評価を糖負荷試験、インスリン感受性試験、グルコースクランプ試験などの解析を行った。(3)新規AdipoR1結合タンパク質(AR1BP)の生理的・病態生理的意義の解明平成23年度は糖新生が亢進した各種肥満・2型糖尿病モデルマウスの肝臓におけるAR1BPの発現変化を検討した。
2: おおむね順調に進展している
申請時、予定していた研究項目((1)骨格筋におけるアディポネクチン/AdipoR1の運動模倣シグナルの解明、(2)肝臓におけるアディポネクチン/AdipoR1の糖新生抑制メカニズムの解明(3)新規AdipoR1結合タンパク質(AR1BP)の生理的・病態生理的意義の解明)のうち、それぞれ平成23年度に予定していた計画内容については、ほぼ達成し、おおむね順調に進展している。
平成23年度については、当初予定していた計画内容について、ほぼ達成し、おおむね順調に進展している。そのため、本研究の推進において、研究体制及び研究計画に大幅な変更の必要性は低いと思われ、当初の計画通り、研究を推進する予定である。本研究課題のさらなる進展・加速を目指すべく、研究協力者を含めた各人の実験の精度とスピードアップを図り、目的を早期に達成したいと考えている。
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PLoS Genet
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