研究課題/領域番号 |
23689049
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田久保 圭誉 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50502788)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / 白血病幹細胞 / ニッチ / 低酸素 / メタボローム |
研究概要 |
本研究では、白血病幹細胞の維持におけるPhd/VHL/HIF-1alpha制御系の機能を手がかりとして、低酸素環境にある白血病幹細胞のエネルギー代謝特性と微小環境(ニッチ)を明らかにし、これらを制御する標的療法開発を目的とする。この目的のためにPhd/VHL/HIF-1alpha制御系の多彩なノックアウトマウス由来の白血病in vivo誘導モデルと、新規の白血病幹細胞のマーカーを見出してそれを指標とすることで、HIF-1alpha経路の白血病幹細胞システムへの寄与の解明と、その活性を指標にした白血病幹細胞の純化法の開発を行う。さらに骨髄内でHIF-1alpha陽性の白血病幹細胞が局在するニッチの構成細胞と構成分子を明らかにする。これらの知見を基に、低酸素ニッチからのシグナルを標的とすることで、未だ根絶が難しい各種白血病幹細胞の根絶法の端緒をつかむ。 本年度は前年度同様マウス慢性骨髄性白血病(CML)を白血病幹細胞のモデル系として検討を行い、CMLの白血病幹細胞分画で発現しているCML白血病幹細胞抗原のスクリーニングを行い、候補分子を得た。候補分子に対する抗体を用いてさらに白血病幹細胞分画を細分化したところ、分画ごとにサイトカインや白血病幹細胞を維持するニッチ因子の発現が異なっていることを見出した。さらに、連続移植システムによって白血病幹細胞活性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通りスクリーニングで白血病幹細胞特異的抗原を発見し、さらに当初予想しなかった白血病幹細胞分画が複数存在する知見を見出しつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素応答系や新規白血病幹細胞抗原がCML幹細胞の形成と維持においていかなる役割を果たすかについての解析をノックアウトマウス中心に進める。また、新規CML幹細胞抗原のさらなる選別と制御系による維持への寄与の有無を検討する。さらにヒト患者検体でのこれら制御系およびCML幹細胞抗原の発現と病態との相関を解析する。
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