研究課題
昨年度までのスクリーニングで見出したCD25を発現するCML幹細胞亜分画の治療標的としての妥当性についての解析と、CD25のリガンドであるIL-2発現細胞の探索を行った。その結果、CD25ノックアウトマウス由来の細胞からCMLを作成したところ、生存期間の延長と病勢進展の遅延を認めた。特に、白血病幹細胞分画の減少だけでなく、CD25陽性CML幹細胞から産生されるマスト細胞様分画も著減しており、各種のサイトカイン産生も低下していた。一方、CD25に対する抗体をマウスCMLモデルに投与したところ、生存期間の延長と病勢進展の遅延、そしてCML幹細胞分画の減少を確認した。また、抗IL-2中和抗体をCMLモデルマウスに投与したところCMLの病勢進展が遅延して生存期間が延長した。IL-2を産生する細胞を免疫染色とFACSで検討した結果、血球細胞の一部がIL-2を産生していることを見出した。以上の結果はIL-2/CD25シグナルが骨髄低酸素ニッチでCML幹細胞を支持して、CML病態に重要な役割を果たすことを示している。また、治療標的としても同シグナル軸は有用であることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
昨年度スクリーニングで見出した白血病幹細胞特異的抗原が実験的な治療標的となり得て、しかも既存治療に上乗せした効果を発揮することが明らかになったため。
今後はさらにCMLにおけるIL-2/CD25シグナルの重要性とその下流シグナルの検討を進め、他の造血器腫瘍におけるCD25発現の意義の検討も行う。
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