研究課題/領域番号 |
23689050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 明彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10506710)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 発現制御 / 生体分子 / 内科 / 蛋白質 |
研究概要 |
本研究は白血病を引き起こすがん遺伝子MLL-AEP fusionの分子メカニズムを明らかにしようとする。白血病において、MLL遺伝子は染色体転座によってMLLと融合パートナーからなるキメラ遺伝子が形成される。その遺伝子産物MLL fusionが標的遺伝子を異常に活性化する事が発症の根本的なメカニズムであると考えられる。MLL関連白血病のうち約7割の症例が、我々が以前に分離同定したAEP複合体の構成因子とのfusionによるものである事が分かっている。平成25年度は「すべてのMLLキメラはAEP依存的に転写を活性化するか?」「AEPはどのようなメカニズムで標的クロマチンにリクルートされるのか?」の二つの疑問に取り組んだ。第一の質問については前年度から継続して取り組んだものであり、我々は合計7種の異なるMLL fusionによって不死化した細胞がAEP依存的に増殖するかどうかをshRNA技術などの遺伝学的な手法で調べた。その結果、AEPと直接結合しないMLL fusionも程度の差はあるがAEP依存的である事が分かった。AEPの構成因子であるENLが結合するクロマチン修飾を調べた結果、特定のクロマチン修飾がENLに結合するヌクレオソームに濃縮している事がわかった。これらの結果から、AEPが様々なMLL fusion発現細胞において、自律的に標的クロマチンを認識して転写を活性化し、白血病化に寄与している事が分かって来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に掲げた研究提案は二つとも順調に進展しており、概ね予定通り達成できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は平成25年度に得られた知見とそれ以前に得られた知見を統合して、MLL fusionがAEPを介して造血細胞を不死化するメカニズムの全容解明に取り組む。
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