本研究は白血病を引き起こすがん遺伝子MLL-AEP fusionの分子メカニズムを明らかにしようとする。白血病において、MLL遺伝子は染色体転座によってMLLと融合パートナーからなるキメラ遺伝子が形成される。その遺伝子産物MLL fusionが標的遺伝子を異常に活性化する事が発症の根本的なメカニズムであると考えられる。MLL関連白血病のうち約7割の症例が、AEP複合体の構成因子とのfusionによるものである事が分かっている。平成26年度は初年度から取り組んできた「AEPが転写を活性化するメカニズム」の解析を中心に行った。具体的には、MLLキメラが骨髄前駆細胞を不死化する実験系を用いてAEP構成因子中のどの機能ドメインが不死化に必要であるかを明らかにした。さらにそのドメインに結合する因子を分離精製し同定したところ、様々な転写関連因子がAEP依存性の転写活性化に関与することがわかった。これらの因子についてshRNAを用いてノックダウンしたところ、幾つかの因子がMLLキメラ依存性の転写活性化能や造血細胞の不死化能に必須であることがわかった。これらの成果を学術誌に投稿した。
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