陽子線治療室におけるRADPOS位置検出精度劣化の原因を調査するために、陽子線治療で使われる器具の材料である真鍮やアルミニウム、ステンレスについて、位置検出精度への影響を評価した。真鍮やアルミニウムが、RADPOSの近くにあるときには、位置を正確に検出することができなかった。一方、ステンレスは位置精度検出に影響は無かった。それゆえ、真鍮やアルミニウムに対しては、20 cm以上離さないと、1 mm以下の精度での位置検出ができないことがわかった。 また、RADPOSの臨床応用に向けて、呼吸性移動ファントムの表面にRADPOSを設置し、体動をモニタすることを目的とした動的な位置精度検証を実施した。RADPOSにより測定された移動量と、呼吸性移動させたファントムを4次元CTにより撮影し、得られたCT画像からRADPOSの移動量を算出し、その移動量を比較した。両者の差は、0.1 mm以内で一致し、これにより、RADPOSを使えば、治療中などの体動を正確にモニタできることがわかった。 そして、高精度に位置検出可能なRADPOSを用いて、頭頸部ファントムに対するin-vivo proton dosimetryを実施した。本手法では、従来は治療計画上で測定位置を決め、測定位置に検出器を設置するようにして測定を行っていたが、実際に計画で決めた測定位置に検出器を正確に設置することは難しい。そこで、RADPOSにより測定位置を決めて、CT画像上の測定位置を求めて線量計算値と測定値を評価する方法を開発した。これにより、±1 mmの位置精度内で実測値と計算値は一致し、しかも陽子線に対してin-vivo dosimetryを実現することに成功した。RADPOSを用いることで、高精度なin-vivo dosimetryを実施できることがわかった。
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