研究課題
本年度はPlatelet activating factor (PAF)とその受容体のPAF受容体(PAFR)に着目した。PAFはPAFRを介してアポトーシスや炎症励起など、様々な作用を促進する脂質であり、血管内皮細胞に直接作用してその遊走、血管透過性亢進する作用が報告されている。実験的マウス脈絡膜新生血管モデルを用いてC57BL/6マウス(WT)眼にCNVを誘導し、PAFRの遺伝子発現の経時変化を検討すると、CNV誘導後5日目をピークに発現していた。免疫染色によりPAFRの発現部位について検討すると、網膜色素上皮細胞(Retinal pigment epithelial cells: RPE)と脈絡膜血管内皮細胞に発現していた。次にWEB2086(PAFR選択的阻害剤)を用いてCNVへの作用を検討すると、基剤投与群に比しWEB2086投与群では腹腔内または眼内投与群とも有意にCNVが抑制された。CNVにはマクロファージが中心的な役割を果たしているが、WEB2086投与群ではマクロファージ浸潤が有意に抑制されていた。脈絡膜でのCNVを促進するサイトカインやケモカインVEGFA、IL-6遺伝子発現はWEB2086投与群では減少していた。以上の結果よりPAF-PAFRによる機構が血管内皮細胞だけでなく、マクロファージの局所浸潤にも関与することでCNV促進機構として働くこと、CNVの新たな治療標的となる可能性が示唆された。実験的網膜下線維瘢痕化モデルでもWEB2086投与により網膜下線維瘢痕化が抑制されたことからPAFは線維瘢痕化にも関係する可能性が示唆された。前年度着目していたニューロメジンUによる網膜下線維瘢痕化制御機構について明確にすることができなかった。引き続き、マイクロアレイなどによる遺伝子発現の検討により、その制御機構について検討を進めていていく予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plos one
巻: 8 ページ: 80288
10.1371/journal.pone.0080288.
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