研究課題
関節リウマチや歯周病などの慢性炎症に伴う骨破壊疾患は、『免疫異常による炎症』と『異常な骨破壊』という二つの病的現象に依存 している。本研究課題では、炎症性T細胞サブセットであるTh17細胞の分化に焦点を当て、「Th17細胞性炎症応答」と 「破骨細胞性骨破壊」の両プロセスを包括して制御できる治療法の基盤確立を目指す。本課題を遂行するにあたり以下を実施した。1. IκBζコンディショナルノックアウト(CKO)マウスの作製: 欧州条件変異マウス作成プログラムのIκBζ floxed ES細胞株 を用いて、floxedマウスを作製し、各種CKOマウスの作製を進めた。2.炎症性骨破壊プロセスに関わるIκBζの機能解析: IκBζ KOマウスならびに骨髄キメラマウスを用いて、コラーゲン誘導性関節炎を実施し、炎症性骨破壊治療におけるIκBζの分子標的としての有効性を生体レベルで検証した。IκBζが機能する組織・細胞種を見出し、免疫系以外の組織細胞におけるIκBζ標的遺伝子の機能解析を行った。3. 炎症性T細胞と骨破壊を標的にした新規T細胞サブセットの解析: コラーゲン誘導性関節炎を用いた解析から、制御性T細胞のマスター転写因子であるFoxp3を発現するCD4+T細胞が、IL-17を強力に産生できる細胞に転換し、骨破壊局所にて集積することが認められた。この転換後のTh17細胞(exFoxp3Th17細胞と呼ぶ)はRANKLを発現し、ナイーブT細胞から直接分化したTh17細胞よりも破骨細胞誘導能が高いことが示され、関節炎の増悪に関わること実証した (Komatsu, Nature Med., 20: 62-8, 2014)。さらに、トランスクリプトーム解析・エビジェネティクス解析を通じて、exFoxp3Th17細胞の特性を評価し、分化転換に関与する転写制御ネットワークをの解析を進めた。本成果により、exFoxp3Th17細胞が関節リウマチの炎症と骨破壊を同時に制御できるターゲットとして有望であることが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Medicine
巻: 20 ページ: 62-68
doi:10.1038/nm.3432
Journal of Immunology
巻: 191 ページ: 1818-1826
doi:10.4049/jimmunol.1300379
http://www.osteoimmunology.com/