研究概要 |
骨芽細胞前駆細胞が骨芽細胞へと分化する一連の過程において、必須の分化調節因子であるWnt/b-catenin経路・Runx2・Osxとそれらの標的遺伝子により形成される転写ネットワークを解明し、上記の分子群が骨形成を制御するメカニズムを分子レベルから個体レベルに渡って明らかにすることにより、骨再生医療へと展開する基礎的知見を収集することが本研究の最終目標である。この目標を達成するために、クロマチン免疫沈降-シーケンス法(ChIP-seq)とマイクロアレイ、およびバイオインフォマティックスの手法を用いたデータ解析を行う。 1. Wnt/β-catenin 経路・Runx2・Osx 誘導性遺伝子の発現プロファイリング 野生型マウス頭蓋骨より得た骨芽細胞・前駆細胞からmRNA を回収し、全転写発現アレイシステム(Gene 1.0 ST array, Affymetrix)により発現プロファイリングを行った。3サンプルから得られたデータをCELファイルとして取得した。Rソフトウェア上にてRMAによる正規化処理ののち、Gene Expression Omnibusより取得したマウス胎児線維芽細胞のマイクロアレイデータのCELファイル(GSE23547)と比較して、骨芽細胞・前駆細胞で優位に発現している遺伝子をLIMMAにより同定した(P<0.05). 2. データ処理 前年度までに得られたβ-catenin・Runx2・OsxのChIP-seqデータをもとに、CisGenome上でピーク検出とピーク領域のモチーフ解析を行い、ピーク近傍遺伝子リストを取得した。このうち、1.において発現が認められた遺伝子を抽出するとともに、Genomic Regions Enrichment of Annotations Toolによりピーク近傍遺伝子のgene ontology termを解析した。
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