本研究は、発達障害児の「子育て」に困難感を抱く保護者に、家族の養育力を強化(家族をエンパワメント)するための育児スキルの伝達、自己肯定感への働きかけ、地域の療育資源に関する情報の提示、を行う介入研究である。育児スキルの伝達、自己肯定感への働きかけは、オーストラリアで開発され、世界15カ国以上で実施されている親向けの子育て支援学習プログラム(養育する児の対象年齢は2歳から10歳)である「前向き子育てプログラム(以下、トリプルP)」のグループトリプルP(毎週1回、合計8回のプログラム)を基盤とし、地域の療育資源に関する情報提供は自治体の障害福祉課や大学と提携したうえで、現在(平成24年4月時点で)介入を実施中である。平成23年度の実績は主に以下の通り。 1.平成23年9月までに、育児スキルの伝達、自己肯定感への働きかけをおこなうトリプルPの内容をトリプルPジャパン事務局と協議して決定し、対象のリクルートや2群(介入群、対照群)への無作為割り付け、介入前後の評価ツールの設定等、介入研究実施に向けての全般的な準備を行った。 2.平成23年9月に筑波大学医の倫理委員会へ本研究計画書を申請し、平成23年11月に審査を受け、12月に承認された。 3.平成24年3月より、つくばにおいて「介入群」への集団プログラム介入を実施中である。 今後、平成25年4月まで、つくば・東京・水戸で、計48週間の介入を予定している。その有効性の検証を最終年度である平成25年度で行う。
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