本研究は、発達障害児の「子育て」に困難感を抱く保護者に、家族の養育力を強化(家族をエンパワメント)するための育児スキルの伝達、自己肯定感への働きかけ、地域の療育資源に関する情報の提供、を行う介入効果検証型研究の最終年度であり、「前向き子育てプログラム(以下、トリプルP)」のグループトリプルP(毎週1回、合計8回のプログラム)をつくば・東京・水戸の3都市で、計55名の保護者を対象に行った。研究当初の目標数として設定したサンプル数の72に至らなかったことにより、介入群・対照群の2群に分けた有効性の検証は不可能となったが、54例は6か月後までのアウトカムを縦断的に追跡できたため、longitudinal studyとしてrepeated measures ANOVAを用いて、本研究の介入プログラムの有効性の検証を行った。 その結果、家族エンパワメントの向上だけでなく保護者の精神状態や自己肯定感、児への接し方、児の問題行動にも長期的な改善効果が得られた。とくに家族エンパワメントについては、the Family Empowerment Scale scoresの全てのサブスケールにおいて有意な介入効果が確認できた。 本研究により、就学前および就学中の発達障害児を養育中の保護者に対し、トリプルPをベースにした集団でのプログラム介入および情報提供を施行することは、保護者・児・家族の全エレメンツにとって有効であることが示唆された。
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