研究課題/領域番号 |
23700007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水木 敬明 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 准教授 (90323089)
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キーワード | アルゴリズム / 暗号・認証等 / ネットワーク |
研究概要 |
本研究は,テンソル分解についての既知の知見をうまく活用し,安全な計算を実現する暗号プロトコルの効率化に応用を図ることを主要な目的としている。特に,リテラルの論理積を排他的論理和で結んで得られるESOP(Exclusive-or Sum of Products)表現が安全な 計算に応用できることと,ESOP表現の最小化が行列の階段化と同等の意味を持つこと,すなわち,行列の階数が安全な計算のコストに直結することが過去の研究で知られているので,行列の階数の一般化がテンソルの階数であると捉え,テンソル分解とESOP表現の関係 を明らかにし,既存の知見・手法を格段に発展させることを目指している。 二年目である当該年度は,まず安全な計算を実現するプロトコルの効率化に取り組んだ。具体的には,これまで論理積を計算する最も優れたものは1989年にden Boerが開発した暗号プロトコルであったが,その効率化に成功し,20年数年ぶりの改良を実現した。この成果は,暗号理論に関する世界最高峰の国際会議のひとつであるASIACRYPT 2012に受理され,開発したプロトコルを広く公表することができた。また,単純な論理積だけにとどまらず,より応用範囲の広い半加算器や全加算器を実現する暗号プロトコルを開発した。この成果は,国際会議Unconventional Computation & Natural Computation 2013に受理され,2013年7月に発表することが決定している。さらに,鍵共有グラフを用いた秘密伝送に関する研究を行い、成果を国際論文誌Discrete Mathematics, Algorithms and Applicationsに公表した。加えて,前年度に引き続き,正準テンソル分解に基づいた安全な計算の検討および詳細化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的、すなわち安全な計算を実現するプロトコルの効率化について、当初の計画通りに進めることができたと判断されるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえつつ、当初の計画に従い、本研究を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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