研究課題
本研究は,安全な計算を実現する暗号プロトコルの効率化を実現することを目的としている。特に,リテラルの論理積を排他的論理和で結んで得られるESOP(Exclusive-or Sum of Products)表現が安全な計算に応用できることと,ESOP表現の最小化が行列の階段化と同等の意味を持つことに基づき,行列の階数の一般化がテンソルの階数であると捉え,テンソル分解とESOP表現の関係を活用することを狙っている。最初の二年間の成果は次の通りである。まずESOP表現の一般化であるESCT(Exclusive-or Sum of Complex Terms)表現に着目し,最小なESCT表現を求める効率的なアルゴリズムを考案した。また,ESOP表現と正準テンソル分解との関連性の解析を進めた。また,論理積を安全に計算する手法の 20年数年ぶりの改良に成功し,成果を ASIACRYPT 2012にて公表した。また,加算器を実現する暗号プロトコルも発表した。さらに,鍵共有グラフを用いた秘密伝送や鍵選択に関する研究を行った。最終年度には,これまでに得られたESCT表現の最小化に関する成果をDiscrete Applied Mathematics誌にて公表した。ESCT表現はESOP表現の一般化であるため,暗号プロトコルのコスト効率化に資する。また,多値入力論理関数のESOP表現と正準テンソル分解との関連性を精査し,既存のテンソル分解に関する成果をESOP表現へ応用できることを明らかにしている。また,多数決関数を安全に計算する効率的なプロトコルの開発に成功した。さらに,計算モデルの精密化・定式化にも取り組み,その成果をInternational Journal of Information Security誌に公表した。加えて,得られた成果に基づく2件の招待講演を行っている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Discrete Applied Mathematics
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