研究課題/領域番号 |
23700010
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安永 憲司 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (50510004)
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キーワード | 誤り訂正符号 |
研究概要 |
性能のよい符号とは、多くの誤りを訂正でき(ランダムネスをもち)、かつ効率的な復号法を有する(構造をもつ)符号である。本研究では、相反する性質(ランダムネスと構造)をもつ性能のよい誤り訂正符号の開発を目的とする。前年度の調査の結果、二元対称通信路と最悪通信路 の中間に位置する通信路モデルに対する訂正能力を解明することを目指した。 具体的には、標本可能な加法的通信路というものを考えた。この通信路では、誤りは効率的に計算可能でありかつ送信語とは独立にサンプルされるものに限るが、誤りの重みは制限されていない。このような通信路モデルは、過去に考えられていなかったため、この通信路における誤り訂正能力の限界を探った。 標本可能な加法的通信路において、標本分布のエントロピーが最小の場合は容易に訂正可能であり、最大の場合は訂正不可能であることから、エントロピーの違いによる分類を目指した。その結果、符号長の線形エントロピーの場合、二元対称通信路に帰着できることから、訂正不可能な分布が存在することが分かった。また、符号長の準線形エントロピーの場合、一方向性関数の存在を仮定すると、擬似ランダム分布が存在することから、効率的には訂正不可能な分布が存在することが分かった。さらに、エントロピーが符号長の超対数関数の場合、線形関数によるシンドローム復号とデータ圧縮の等価性より、シンドローム復号によって効率的に訂正できない分布が存在することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ランダムネスの高い符号の性能評価については、新たな通信路モデルを提案し、訂正能力の解明が進んでいるが、もう1つのアプローチである、汎用的な復号法が適用可能な符号の開発という方向に関して進展があまり無いため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に提案を行った通信路モデルにおける訂正能力の解明を目指す。特に、達成不可能性だけではなく、達成可能性の議論を行う。例えば、ランダム符号による達成可能性の評価、既存の符号化方式による達成可能性の評価、および誤り重みを制限した場合の既存通信路における研究との比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たな通信路モデルに関する調査のための資料費および意見交換のための旅費として使用する予定である。
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