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2011 年度 実施状況報告書

平面グラフに特化した高機能かつコンパクトな実践的符号化アルゴリズムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23700012
研究機関岩手大学

研究代表者

山中 克久  岩手大学, 工学部, 助教 (60508836)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードアルゴリズム理論 / グラフ理論 / 符号化アルゴリズム
研究概要

3つの符号化アルゴリズムを考案した.3つのうちの2つは格子方形描画に対する符号化アルゴリズム,1つは根付き木に対する符号化アルゴリズムである.初めに格子方形描画に関する研究成果について説明する.方形描画とは,各面が四角形の平面グラフのことであり,VLSIのフロアプラン等をモデル化したグラフである.この方形描画に対して長さの概念を導入したものが格子方形描画である.長さを考慮しているため,格子方形描画のほうが,方形描画よりも,より現実に近いモデルになっている.m本の辺からなり,辺の長さの総和がLであるような格子方形描画を m+L-(mH-1) ビットに符号化するアルゴリズムを与えた.ここで,mHとは極大な水平線分の本数である.この研究成果は,電子情報通信学会の論文誌(査読付)に採録・掲載された.さらに,まったく別のアイデアに基づいた格子方形描画の符号化アルゴリズムを提案した.このアルゴリズムは,m本の辺からなり,辺の長さの総和がLであるような格子方形描画を 4m/3+L/2 ビットに符号化する.前者のビットサイズに比べると,mの係数が大きくなっているが,Lの係数は小さくなっている.現実世界に現れる格子方形描画では,mの値よりもLの値が大きくなることが予想されるため,応用的な観点から見ると,後者の方がよりコンパクトであると言える.この成果は,情報処理学会のアルゴリズム研究会(査読無)で発表している. 根付き木をコンパクトに符号化するアルゴリズムも提案した.根付き木を平面に埋め込んだものを順序木と呼ぶが,この順序木の符号化アルゴリズムを基にして根付き木をコンパクトに符号化するアルゴリズムを考案した.計算機実験により生成された符号がコンパクトであることを示した.この成果は,情報処理学会のアルゴリズム研究会(査読無)で発表を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究成果として,符号化アルゴリズムを3つ考案することはできた.ただし,3つのアルゴリズムとも,平面グラフの部分クラスを扱うアルゴリズムである.最終目的は平面グラフを扱う符号化アルゴリズムを提案することであるため,より広いグラフのクラスに対する符号化アルゴリズムを考案することが求められる.既に提案しているアルゴリズムを設計した際に得られた知見をもとに,平面グラフを符号化するアルゴリズムを開発する.また,コンパクトに表現したままで,問合せ(クエリ)に高速に答える機能を追加することも課題として残っている.グラフの頂点間の隣接判定や次数判定,2頂点の最短経路の計算,などのクエリが主な対象である.この課題についても取り組む必要がある.

今後の研究の推進方策

一般のグラフに対して,グラフをコンパクトに表現したままで2点間の最短経路を高速に計算する方法が知られている(P. Ferragina, I. Nitto, and R. Venturini, On Compact Representations of All-Pairs-Shortest-Path-Distance Matrices, Theoretical Comput. Sci., Vol.411, pp.3293-3300, 2010).この手法を平面グラフに適用することにより平面グラフに対する高機能な符号化アルゴリズムを提案する.平面グラフの性質を利用することで,よりコンパクトな表現のままで高機能性を達成する.一般のグラフに対して平面グラフが疎である(辺の本数が少ない)ことや,平面グラフの各頂点に接続する辺には順番が決まっていることに着目して,既存手法を改善する.

次年度の研究費の使用計画

計算機実験用にデスクトップ型のコンピュータを一台購入する.計算機実験では,大規模なグラフデータ上で実験を行うので,大規模なデータを保存するためのハードディスクが必要になる.そのため,大容量の外付けハードディスクを購入する.また,符号化アルゴリズムをソフトウェアとして実装する際に必要となる知識を得るために,マニュアル等を購入する.本年度は,論文執筆も平行して行う.論文は英文で執筆予定であり,査読付きの国際会議,論文誌へ投稿予定である.これらの採択率を高めるために英文校正代金が必要になる.論文誌に採録となった際は論文別刷り代金が必要になる.その他にも,研究成果を国内外で発表するための旅費が必要である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 格子方形描画のコンパクトな符号2011

    • 著者名/発表者名
      須田亮平,中野眞一,山中克久
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌 D

      巻: Vol. J94-D, No.12 ページ: 2031-2036

    • 査読あり
  • [学会発表] A compact encoding of rooted trees2012

    • 著者名/発表者名
      Katsuhisa Yamanaka
    • 学会等名
      情報処理学会第138回アルゴリズム研究会 2012-AL-138-4
    • 発表場所
      流通科学大学(兵庫県)
    • 年月日
      2012年1月28日
  • [学会発表] A compact encoding of rectangular drawings with edge lengths2011

    • 著者名/発表者名
      Shin-ichi Nakano and Katsuhisa Yamanaka
    • 学会等名
      情報処理学会第136回アルゴリズム研究会 2012-AL-136-1
    • 発表場所
      函館市中央図書館(北海道)
    • 年月日
      2011年9月6日

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公開日: 2013-07-10  

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