研究概要 |
本年度は,3正則グラフにおいてハミルトン閉路に近い2-因子を求めるアルゴリズムについての論文 (下記 [1]) を発表した.本論文で提案したアルゴリズムは以下の通りである. (A) 重み付き3正則2辺連結グラフにおいて,すべての3辺カットと交わる最小重み2-因子を求めるアルゴリズム, (B) 3正則2辺連結グラフにおいて,すべての3辺カットおよび4辺カットと交わる2-因子を求めるアルゴリズム, (C) 3正則3辺連結グラフにおける,最小2辺連結部分グラフの6/5近似アルゴリズム. ハミルトン閉路がすべてのカットと交わる2-因子であることを考えると,(A),(B)のアルゴリズムが見出す2-因子はハミルトン閉路に近い性質を持っている.本論文は,離散凸性の一つであるカット関数の劣モジュラ性等に注目することにより,NP困難であるハミルトン閉路問題の緩和問題に対して多項式時間アルゴリズムを設計したものである.さらに,(B)のアルゴリズムを前処理として,やはりハミルトン閉路問題の緩和問題である最小2辺連結部分グラフ問題に対し,既存の近似率を改良するアルゴリズム(C)を設計した. また,引き続き,離散凸解析の理論をハミルトン閉路問題の緩和問題に適用することにより,既存のアルゴリズムの近似率を改良するアルゴリズムを設計を進めている. [1] S. Boyd, S. Iwata and K. Takazawa, Finding 2-factors closer to TSP tours in cubic graphs, SIAM Journal on Discrete Mathematics, to appear.
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