研究課題/領域番号 |
23700017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 武幸 京都大学, 化学研究所, 助教 (00437261)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 遺伝子制御ネットワーク / 代謝ネットワーク / ブーリアンモデル / アルゴリズム / 定常状態 / 整数計画法 / 動的計画法 |
研究概要 |
2011年度は、(1)ブーリアンネットワーク(BN)の周期的定常状態を求めるアルゴリズムの開発、(2)確率ブーリアンネットワーク(PBN)を回数制限つきで最適な制御方法を求める問題に対し、整数計画法と動的計画法に基づく手法の開発、(3)当初の予定とは少し異なるが、遺伝子制御ネットワークと密接な関わりを持つ代謝ネットワークのブーリアンモデルによる解析を行った。(1)では、まず正リテラルのn個のOR関数で構成されるBNの周期2の定常状態を見つけるアルゴリズムの開発に取り組んだ。次にn個のAND/OR関数で構成されるBNの、周期2の定常状態を求めるアルゴリズムを開発した。さらにn個のnested canalyzing関数で構成される樹状幅がwであるBNの固定周期の定常状態を求めるアルゴリズムを開発した。(2)ではBN CONTROL問題において、外部制御を適用することによりBNを目的状態へと導く手法を開発した。次にPBN CONTROL問題において、PBNが最終的に目的状態へ到達する確率を最大化する制御列を見つける手法を開発した。さらにPBNが到達しうる状態のコストの最小値を最大化する手法も開発した。そして、これらの問題に制御回数の制限がある時に、整数計画法と動的計画法を組み合わせて解く手法を開発した。さらに数値実験により、これらの手法の有効性を検証した。またPBN CONTROLがBN CONTROLよりも本質的に難しいことを数学的に証明した。(3)では、閉路を含む代謝ネットワークにおける複数反応の影響度の効率的な計算方法を開発した。計算機実験の結果、我々の開発した改良アルゴリズムは基本的なアルゴリズムの数十倍速い事を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度はBNの周期的定常状態を求める問題や、制御する問題に対して多くのアルゴリズムを開発することができたので、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづきBNの定常状態を求める問題や、制御する問題に対する研究を行っていく。生体内のネットワークはBNだけでなく、代謝ネットワークや転写制御ネットワークなども重要なので、今後の研究ではそれらも遺伝子制御ネットワークに関連させていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年度から約8万円の繰り越しはあるものの、ほぼ当初の計画通りに使用する計画である。
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