当初、平成23年度~24年度で行う予定であった本研究計画のうち、一部を平成25年度に行ったため、使用額も約6万6千円であった。当初はこれを研究発表費用にあてる予定であったが、旅費との兼ね合いで予定を変更し、主に書籍などの購入にあて、当初予定していた研究発表は他の予算で支出した。 当初予定をしていたBNの定常状態を求めるアルゴリズムの開発については、AND/OR BNの周期が2の定常状態を求める厳密アルゴリズムの開発を行った。またBNを制御する手法については、確率ブーリアンネットワークを回数制限つきで最適に制御する手法を開発した。さらに遺伝子制御ネットワークと密接な関わりを持つ代謝ネットワークをブーリアンモデルに基づいて解析した。また当初の予定には無かったが、ブーリアンモデルではないネットワークを動的計画法と最小二乗法に基づいて補完する手法の開発を行った。さらに無順序木の編集距離をクリーク問題に帰着して動的計画法で解く手法の開発や、次数制限のある外平面グラフの最大共通部分グラフを見つける多項式時間アルゴリズムを開発した。 このようにブーリアンモデルによる遺伝子制御ネットワークの数理モデル化と解析というテーマのもとで、実際にBNの定常状態を求めるアルゴリズムや、制御するアルゴリズムを開発した。また当初の予定にはなかったが、遺伝子制御ネットワークのみならず、それと密接な関わりをもつ代謝ネットワークの解析も行ったことにより、平成25年度から研究代表者がおこなっている「ブーリアンモデルによる生体ネットワークの統合的な数理モデル化と解析」の研究への重要なステップとすることができた。
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