本課題の目標は、新規のドメイン特化型言語(DSL)およびその処理系の実装を効果的に得るために、逐次的、段階的に既存言語を拡張するアプローチ(逐次的拡張)について研究し、その応用となるDSLシステムを開発することである。平成25年度の成果は、(1)逐次的に既存言語を拡張するフレームワークの提案、(2) 逐次的拡張手法のシミュレーションシステムへの適用に関する研究である。(1)逐次的に既存言語を拡張するフレームワークの手法の提案に関して、昨年度に引き続き、ビジュアル言語による言語処理系設計システムの研究を進め、実際に逐次的言語拡張に必要となるフロントエンドシステムを開発した。本システムは、ブロック型のビジュアルインタフェースによるDSLの言語要素をGUIによって定義できるものである。また、このツール上で言語要素を組み合わせることで、新しい言語要素を生成できる機能を備える。(2) 逐次的拡張手法のシミュレーションシステムへの適用に関する研究では、「役割指向プログラミング」を逐次言語拡張の核となる概念として応用できることを示した。この手法の応用研究として、「社会シミュレーション言語SOARS」をドメイン特化型言語の例として作成し、さらにこのドメイン特化型言語を逐次的に拡張することによってネットワークシミュレーションを実現する言語を実現した。本手法の応用としてさらに、エンタープライズシステムの設計と実装手法への応用研究を行った。
|